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2008.04.07特集

被写体の潜在力を引き出す午後の光

中庭から漏れ入る光がつくる ひだまりの中 現れた彼女 瞬間、ファインダーをのぞく自分がいた
写真:高谷 良
(シャッタースピード:1/60秒、絞り値:F2.8、ISO感度:100、レンズ:キャノンEF50mm/F1.8)

 昨年高谷さんが訪れた春の東京・鷺沼。八王子に本店をもつとうふ料理「とうふ屋うかい」の鷺沼店は、銘水・大和田の井戸水からつくる「うかい豆腐」を中心とした創作料理も話題だが、700坪の敷地に広がる豊かな日本庭園を目的に訪れる来店客は少なくない。四季折々に表情を変える趣のある庭に、高谷さんが心酔したのは仕事で同店を訪れた数年前。独自の空間がもたらす至福の時間が忘れられず、もう一度訪ねたという。

 新緑の中庭を眺めながら時が経つのを忘れていると、御膳を手にした女性が静かに個室へ現れた。中庭から漏れ入るやわらかな光の中、和服の紺が鮮やかに目を刺激する。本来は飾り気のない色を鮮やかに見せる、正午過ぎの光の巧みな演出。図らずして庭園の美観を仕上げる巧妙な業に、次の瞬間、高谷さんはファインダーをのぞいていた。


「聞こえない会話」を伝える淡い午前の光

(シャッタースピード:1/125秒、絞り値:F4、ISO感度:200、レンズ:キャノンEF85mm/1.8)

 人物撮りを得意とする高谷さんは、撮影対象の人物の感情をとらえるためにシャッターを切る「瞬間」を気長に待つ。05年の春に訪問した福祉施設での一枚も、高谷さんの集中力が写真越しに見て取れる。

 自分の母親に語りかけるように背をかがめて寄り添う女性のやわらかな表情は、午前中の淡い日光を浴びてより穏やかに見える。写真家と被写体との距離を感じさせない自然な感情を写し出した一枚からは、2人が交わす会話が聞こえてくるようだ。


CANON EOS 5D
CANON EOS 5D

新開発35mmフルサイズ、有効画素数約1280万画素CMOSセンサーを搭載。高谷さんの愛機も菊池さんと同じモデルのCANON EOS5D。35mmフィルム一眼レフカメラと全く同じ感覚で使用できる点が購入の要因となった一つ。同モデルのカメラを2つ使いこなし、仕事、プライベートともに愛用している。

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高谷 良 高谷 良

1995年渡英。1998年ボーンマス・プールカレッジ写真学科を終了後、ヨーロッパ各地に三年間滞在。主にヨーロッパ滞在中に英国の地方新聞社でカメラマンとして活動する。スペインではファッションを主に撮影するスタジオ万として専属で勤務。その間、各都市を回りながら町や村の人々にレンズを向けてスナップ撮影を実行。2001年帰国後、スポーツ、ステージ、ウェディングのフリーフォトグラファーとして活動を始める。現在フリーランスとして多方面にて活動中。

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