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力強くではなく、エレガントに
「俳優さんに殺陣をつける時は、劇的な見栄えの効果を配慮することが多いですね」
そのために実際の武道や武術よりも、予備動作やひと太刀振るった後の残心を長く大きくするなどの配慮がなされる。それでも自然で柔らかい動きでなければ、単に機械的に刀などの武器を振り回しているだけにしか見えないのである。
決められた手順、段取りで動くにしても、そこには姿勢や構え、足運びや立居振舞いなど、演技としての美しさや流れの良さが求められる奥深いものなのだ。
「講座でみなさんによく言うのは、“力強くではなく、エレガントに”。演じている自分の姿を想像して、楽しんでもらうことが一番です」
そう、和太刀を演じている時の気分は、劇中の佐々木小次郎や沖田総司であればいい。




息を合わせることで剣の面白さを知る
いくら演技といえども、和太刀は武器を持って行なうだけに、それが本物ではなくても、当たれば怪我をすることもある。真剣に取り組まなくてはいけない。
だからこそ、本当に当たっていなくても当たっているように、斬られていなくても斬られているように見せる技術が必要だ。そして相対して演じてくれる相手に怪我をさせない、自らも怪我をしないといった配慮も必要なのだ。
そこから生まれるのが、お互いを思いやる気持ちとコミュニケーション。相手が力や技を出しやすいように動きを誘い、相手の心の動きを自らの心に映し、一瞬の間をつかんで受け太刀する……。実はこれ、武道で言うところの『活人剣』と通じるところがある。つまり、和太刀を学ぶことで、知らないうちに剣術の深いところを触れられる面白さも含んでいるのだ。




