パキスタン カラコルムの峠超えはハラハラドキドキ
「いやぁ〜、こりゃとんでもない所に来たもんや!」
思わず、そんな愚痴をこぼしたくなるのが、パキスタンのペシャワールから山岳都市チトラルへと向かうドライブの旅だ。

行けども行けども、道はまるで川のよう。雪解け水が流れ込んで、至る所ぬかるみだらけだ。おまけに、どでかい岩がごろごろ転がって、道を塞いでしまうことも多い。「ちょっと降りて、車押してくれないか」運転手にそううながされて車の後ろにまわったのは、もう何回あったろうか。スワート街道最大の難所・ロワール峠を越えるのは、そう生半可なことではないのだ。

ぬかるみに足をとられて滑り落ちれば、数百メートル下の谷底へと真っ逆さまだから、運転手の機嫌をそこねるわけにもいかない。ヒヤヒヤドキドキの連続で、泥んこになりながらのドライブをやっと終えて、ボンボレットというひなびた山村へとたどり着いたのは、出発から10数時間も過ぎてからのことである。
ギリシャのマケドニアに生まれたアレキサンダー大王が、アジアへと兵を進めたのは、紀元前333年のこと。3万5千人とも5万人ともいわれる大軍を率いて兵を進めたものの、勇猛果敢なバターン族の勇士たちの激しい抵抗にあって、ついに東征を断念。逃げるかのようにして故国マケドニアへと退却していったのである。その敗軍の兵士たちの一部が、このチトラルの山岳地帯に逃げ延び、末裔たちが今も2千数百年の時を隔ててひっそりと暮らし続けているというのだ。





