旅・宿・移住

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2007/02/19

「このままやったら、わし、死ぬかもしれへん…」の巻

「カ、カラダが…動かへん!」
朝、目が覚めて身体を起こそうとしたら、金縛りにあったように身が硬直して起き上がることができない。家内の力を借りて、とうとうそのまま病院へ直行する羽目になってしまった。今から13〜14年前、40歳にもうすぐ手が届こうかという頃、突如我が身を襲ってきた異変に、頭の中まで真っ白になりそうであった。

まだバブルが完全に弾けきる前、海外ロケに明け暮れ、時差ぼけなど構っていられるかとばかりに働きに働き続けたあげくのことである。

「毛細血管に血が回らない、いわゆる瘀血というやつやね」と、知り合いの漢方医が呆れたような口調で言う。「あんたね、運が悪けりゃ、あの世へ行ってたかもしれんよ」とも。どうやら中年になってからの働き過ぎは、命に関わることでもあるらしい。

「このままやったら、わし、死ぬかもしれへん…」そんな悲壮感に苛まされるようになるのに、そう時間はかからなかった。

それまでの我が身を振り返ってみると、確かに異常なまでの働きぶりである。東京にいる間は、ほとんど休日もなく働き続けた。年間労働時間を数えてみたら、4500時間をゆうに超えている。仕事の虫といえば聞こえがいいが、早い話、それだけ働き詰めに働かなければ、フリーカメラマンなんて食っていけないのだ。あわせて旅行書を編集制作する小さなプロダクションも経営しているが、零細企業ゆえ、社長自ら汗水たらしながらの現役最前線。従業員が帰った後も、残務整理に追われて、週に1〜2日は徹夜状態。海外ロケの場合も、ヨーロッパから帰って2日後に南米へ…なんていう無茶なスケジュールも、結構日常茶飯であった。

やっとの思いで作った、月に2〜3日あるかないかの休日も、2人の子供を公園で遊ばせている間、当の本人はベンチで原稿書きか次の取材先の資料読みに追われる始末。そんなこんなで、寅さんのたこ社長じゃないけれど、「社長なんて、いいこと何〜もあらへん」と、つい愚痴をこぼしたくもなる。

それから数年、45歳を過ぎて体力の衰えを一層痛感し始めた頃、再び不安な思いが甦ってきた。「このまま同じように仕事を続けていたらどうなるねん?」もしかして、今度こそ心筋梗塞か脳溢血でポックリな〜んてことにもなりかねないと、思い始めていたある日、ふと頭をよぎったのが、「どこか景色のいい田舎で、のんびり暮らしてみるのもええかな」。哀しいかな筆者の場合、田舎暮しに明るい夢を思い描いていたわけではなく、こんな悲壮感にさいなまれて、田舎暮しを目指さざるを得なかった…というのが偽らざる本音なのだ。





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