下地 勇。宮古島方言で歌うシンガー・ソングライターが新作『3%』を発売!
2月25日。午後6時半。東京銀座・山野楽器本店7階のイベントホールは、入口の扉が閉まらないほど大勢の人で溢れていた。
この夜は、下地 勇のニュー・アルバム『3%』のリリース・イベントが行われたのである。

会場には200人を超える人たちが集まっている。ほとんどが中高年の男女。仕事帰りのサラリーマン風の人もいる。彫りが深く、きりりとした端正なルックス(宮古の人は美男美女が多い!)で県内外で女性ファンが多いとは聞いていたが、これほど男性ファンがいたとは、正直驚いた。
ステージに現われた下地に、あたたかい拍手が向けられる。そしてアコースティック・ギターを手にした彼は歌い始めた。時に力強く、時に囁くように…。
下地 勇は、宮古島出身のシンガー・ソングライター。メジャーからデビューしている沖縄出身のアーティストは多いが、彼はポップスにのせて、ミャークフツ(宮古方言)で歌うという点で唯一無二の存在だ。
初めてミャークフツの歌を聴いた時、正直、僕には何を歌っているのか、僕にはまったく理解できなかった。ウチナーンチュ(沖縄県人)に聞いても、「まったく、わからんさー」との返事。それならウチナーンチュ4年目の僕がわかるわけないよねー、と納得。
宮古島の、しかも年長者ならいざしらず、なぜ下地がミャークフツで歌うようになったのか。それは下地が30歳の時、父親の還暦祝いのプレゼントとしてカセットテープに吹き込んだ歌がきっかけだったという。「サバぬにゃーん」は、サバ(ぞうり=沖縄ではビーチサンダルが普段履き)がないという、いかにも宮古島の生活がうかがえる歌だ。それはこんな内容である。
近所の家にお祝いに行って帰ろうとしたら、玄関はぞうりだらけ。みんな酔っぱらっているし、自分のサバが探せない。結局探せなくて、人のサバを履いて行く人もいるし、意図的に安っぽいサバで来た人が、できるだけ新しいサバを探して、わざとそれを履いて帰る人もいる(笑)。それこそサバが村中を行ったり来たり…という、なんとも微笑ましい歌だ。
「サンフランシスコ・ベイ(湾)・ブルース」のメロディに、ミャークフツで歌詞を書いたこの「サバぬにゃーん」は、カセットテープが人から人へと渡り、島中で話題に。その曲が沖縄本島にも飛び火したことがきっかけで、当時サラリーマンだった下地がシンガー・ソングライターとなったのである。






