アメリカ編 その1
栄華盛衰は世のならいである。形あるものは壊れ、姿あるものは変る。しかし、変わらないモノもある。例えば、ニューヨ−クのビール酒場の名門「マクソリーズ」のように。
言うまでもなく、アメリカは実に多種多様なマイクロ・ブリュワリーを持つ国だ。その形態も様々で、州、地域、大都市、田舎とヴァリエーシンを変えて、ありとあらゆるビール酒場が楽しめる。
例えば、南部アトランタなら、中心部よりもバックヘッドとかの郊外住宅地に、旨いビール酒場は集中している。
郊外の住宅地、バックヘッドはさしずめ東京なら吉祥寺や国立くらい都心から離れた街だ。ただし、ホテルは林立しているし、レノックスという巨大ショッピング・センターもある。
この街の真ん中、ホリデイ・インに宿を取り、翌日は朝から、酒場巡りを始めた。
一番近くにあるのが、ポートランドにもシアトルにもあったロックボトム。マイクロ・ブリュワリーの全米ネットワーク化は良い結果をもたらせないという危惧がしていたが、はからずも当たってしまった。そんなわけであえて感想は書かない。
つぎはアトランタ・ビア・ガーテンATLANTA BEER GARTEN。
週末だから、ご近所の皆さんが通りに面したテラスに陣取り、陽気にグラスを重ねているようだ。私が飲んだのは、ALTにALE。ビールは悪くない。しかし、総じてぬるま湯的だ。悪くないがある種の清冽さ、なにかの豊穣さ、ひとつの滋味がたりない。あえて言うと自説の”発酵及び醸造には緯度が必要”といったところだろうか。
店内は大教室程度。真ん中にドーンと島のようにカウンターがあり、各所に大画面のモニターテレビが設置されている。入り口左に教室クラスのブルワリーがあり、タンクにそれぞれの銘柄が横書きされている。数えてみるとほかに、LUNATIC LAGER、BUFFALO SKULL、STONE MOUNTAIN STOUT、HEFEWEIZEN。以上6種のタンクが背揃いしていた。
つづいて、おなじ通り、2ブロック先のJOHN HARVARDSへ。
ここは上品なブラッスリー風。ただしフランスではなく、あくまでもアメリカ的な。
店内には頭部だけケネデイやらマルクスやらの聖人のステンドグラスが飾られ、どこか映画「ブルース・ブラザース」に出てきた教会のような感じもする。ピーチツリー通りに面したコーナーに入り口があり、右手がバー、左がレストラン。奥にブルワリーがある。
MAI BOCK、LOCH LANIER SCOTCH ALE、OLD IVY PALE ALE、ESBを頼み、軽い食事をとりつつ飲んだが、ビール・料理ともに良かった。ただESB特有のクセが私には合わず星2つであったが、ほかは全て星3つである。ほかにCRISTAL PILSNER、RASBERRY RED ALE、MANCHETER ALT、EMERALD ISLE STOUTの4種があり、大いに食指が動いた。
最後はかつてのチェロキー、現在のPERCYS FISH HOUSEへ。
じつは前年同地を訪れたとき、地元の新聞にチェロキーの記事が掲載されていて、たいそうにぎわっている様が活写されていた。残念ながらそのときは時間の余裕がなく、やむなく断念したのだが、ちょうど1年後に再訪すると、もう店替わりしているとは、この業界もなかなか厳しい現実があるらしい。
さて、パーシ−ズは横に長い広がった平屋建ての作りになっている。一番右に入り口。入って左手前にカウンター。テーブルはボックス仕様になっていて、アメリカによくあるように手前側が低く、奥は一段高いという配置。広さは大教室程度。左奥が教室クラスのブルワリーになっていた。
飲んだのは、BUCKHEAD BLONDEとDEEP SEA ESB。ほかにAMBER JACK ALE、BLACK BEARD BOCK、WAHOO WHEAT、SKIP JACK STOUTがあった。
ニューオリンズでもビール。なにはなくともビールである。
特記すべきはフレンチ・クオーター西のクレセント・ブルーワリー。
店内に醸造所を持っていて、4種の自ビールを製造。食事も出来る。土地のカキ、キャットフィッシュ(なまず)等はまずまずであった。ニューオリンズ、ビール酒場の筆頭だろう。間口はさほどでもないが、店内は奥に深くなっていて、入って手前右に醸造所、センターに奥に長いカウンター。テーブル席は奥に少しあったようだ。
ピルスナー、RED STALLION、BLACK FORREST、未飲の小麦ビールもあった。
しかしニューオリンズでは、やはり銘酒アビータを挙げたい。
アビータもやはりマイクロブリュワリーと言ってよい、おもにラガーをメインとする醸造所だ。自前のブルーパブは持っていないようで、醸造所はニューオリンズからポンチャートレイン湖の有料道路を越えてすぐの街ABITA SPRINGSにある。
これらゴールデン、アンバー、ターボドッグの3種を市内あちこちのバーやレストランで飲んだが、甘みのあるやや色の濃いターボドッグが飽きずに飲めた。南国の花の香りさえ感じるアンバーが次、どういうわけか普段なら美味しく飲めるはずのドライでホップの効いたゴールデンは、私の体調のせいか、美味しく飲めなかった。
ニューヨークでも、熱狂的にビール行脚を続ける。
マリオット・イースト・サイド・ホテルにトランクを入れて30分後にはE.47丁目のマギーズ・プレイスのカウンターにドッカリと座る。とりあえず、目の前のタップからサンフランシスコ産のシエラネバダのピルスを1杯。つづいてサラナを1杯。気のいいバーテンと話が弾み、次々とワイングラスでいろいろなブランドを試飲させてくれる。つまみなしなので忽ち酔眼。でそのバーテンが「絶対、最高、もーカナワン」と薦める34丁目のジンジャー・マンへ行くことにする。
さてジンジャーマンである。ホント、N.Y.最強である。世界のビールを飲ませる店としては地上最良のパラダイスといっても大袈裟じゃない。まさにビール好きの天国である。
店内は広い。奥行きもある。カウンターが入り口から奥までのびていて、そのカウンターの前の壁に生ビールのタップ、いわゆる注ぎ口が何十と突き出ている。
メニューに記載されたドラフト・ビールの欄にペールが22種、アンバーが19種、ダークが23種、勢揃い。
驚きと期待に満ちた私は、美形ウェイトレスに質問する。
「全部飲めるの?」、「もちッ!」
素晴らしい。豪華だ。キラ星のごときラインナップ。目に涙、口に涎、肌に泡、身震いするほどの感動である。
参考までにペールはベルギーから、HOEGAARDEN チェコから、PILSNER URQELL イギリスからはBODDINGTON アイルランド、HARP ドイツPAULANER、 FRANZISKANER アメリカANCHOR,NEW AMSTERDAME,SIERRA NEVADA,BROOKLIN等などそうそうたる銘酒が並ぶ。
ついでにアンバーは、イギリスBASS,FULLER,YOUNGときて、フランスGRAIN D´ORGE アイルランドMURPHY´S スコットランドMCEWAN´Sと続き、アメリカOLD FOG HORN,SAMUEL ADAMS,SOUTHAMPTON,STOUDT´Sドーダラコーダラ。
めんどうだダークもいっちゃう。
ベルギーMAREDSOUS ドイツKOSTRIZER イギリスNEW CASTLE BROWN ALE オランダLA TRAPPEアメリカCATAMOUNT,PETE´S WICKED ALE,WILD GOOSEアレソレ。ドーダ、文句あっかである。
全て、押しなべて、下面発酵だ、2条麦だ、ホップだ、いやモルトだ、瓶だ缶だ生だ、アレヤコレヤのありとあらゆる好みと味を越えて、ビール好きの希望と理想と知恵の総結晶である。1週間せめて5、6日の休暇がとれるなら、ビール好きのあなた、ニューヨークへ飛べ。
初めてニューヨークに行ったときに、ただの観光者気分で訪れたのが、マクソーリーズ。
あのあたりには高いビルがないのだが、それにしてもあの古ぼけた店の前に立ったときは正直驚いた。29歳の8月。とても暑い夏だった。
当時は現在ほど、ユニオン・スクエアやバワリーあたりが安全ではなくて、一人で5番街でバスを降りて、2番街近くまで歩いたときは怖かった。
見上げると古色蒼然とした例の看板である。MCSORLEYS ALE HOUSE。
入ると真夏だというのにほぼ真ん中にでんとでかいストーブがある。これでまずふつうは出鼻をくじかれるだろう。夏なのでの使われていないが明らかに寒くなると現役で働いていますという主張がその黒々とした存在からありありと伺える。店は2部屋からなっていて、手前には常連が、奥には近くの大学の学生たちがたむろっているように見えた。あのころは好奇心だけは人一倍あるものの、ビールとエールの違いもまだわからないヒヨッコだったから、「とりあえずビール」とばかりに1杯だけ頼んで、一人寂しくすすりながら人物鑑賞しただけだった。外に出るとすごい夕立になっていて、30分駆けて宿まで帰った記憶がある。
例えば、南部アトランタなら、中心部よりもバックヘッドとかの郊外住宅地に、旨いビール酒場は集中している。
郊外の住宅地、バックヘッドはさしずめ東京なら吉祥寺や国立くらい都心から離れた街だ。ただし、ホテルは林立しているし、レノックスという巨大ショッピング・センターもある。
この街の真ん中、ホリデイ・インに宿を取り、翌日は朝から、酒場巡りを始めた。
一番近くにあるのが、ポートランドにもシアトルにもあったロックボトム。マイクロ・ブリュワリーの全米ネットワーク化は良い結果をもたらせないという危惧がしていたが、はからずも当たってしまった。そんなわけであえて感想は書かない。
つぎはアトランタ・ビア・ガーテンATLANTA BEER GARTEN。

週末だから、ご近所の皆さんが通りに面したテラスに陣取り、陽気にグラスを重ねているようだ。私が飲んだのは、ALTにALE。ビールは悪くない。しかし、総じてぬるま湯的だ。悪くないがある種の清冽さ、なにかの豊穣さ、ひとつの滋味がたりない。あえて言うと自説の”発酵及び醸造には緯度が必要”といったところだろうか。
店内は大教室程度。真ん中にドーンと島のようにカウンターがあり、各所に大画面のモニターテレビが設置されている。入り口左に教室クラスのブルワリーがあり、タンクにそれぞれの銘柄が横書きされている。数えてみるとほかに、LUNATIC LAGER、BUFFALO SKULL、STONE MOUNTAIN STOUT、HEFEWEIZEN。以上6種のタンクが背揃いしていた。
つづいて、おなじ通り、2ブロック先のJOHN HARVARDSへ。
ここは上品なブラッスリー風。ただしフランスではなく、あくまでもアメリカ的な。
店内には頭部だけケネデイやらマルクスやらの聖人のステンドグラスが飾られ、どこか映画「ブルース・ブラザース」に出てきた教会のような感じもする。ピーチツリー通りに面したコーナーに入り口があり、右手がバー、左がレストラン。奥にブルワリーがある。
MAI BOCK、LOCH LANIER SCOTCH ALE、OLD IVY PALE ALE、ESBを頼み、軽い食事をとりつつ飲んだが、ビール・料理ともに良かった。ただESB特有のクセが私には合わず星2つであったが、ほかは全て星3つである。ほかにCRISTAL PILSNER、RASBERRY RED ALE、MANCHETER ALT、EMERALD ISLE STOUTの4種があり、大いに食指が動いた。
最後はかつてのチェロキー、現在のPERCYS FISH HOUSEへ。
じつは前年同地を訪れたとき、地元の新聞にチェロキーの記事が掲載されていて、たいそうにぎわっている様が活写されていた。残念ながらそのときは時間の余裕がなく、やむなく断念したのだが、ちょうど1年後に再訪すると、もう店替わりしているとは、この業界もなかなか厳しい現実があるらしい。
さて、パーシ−ズは横に長い広がった平屋建ての作りになっている。一番右に入り口。入って左手前にカウンター。テーブルはボックス仕様になっていて、アメリカによくあるように手前側が低く、奥は一段高いという配置。広さは大教室程度。左奥が教室クラスのブルワリーになっていた。
飲んだのは、BUCKHEAD BLONDEとDEEP SEA ESB。ほかにAMBER JACK ALE、BLACK BEARD BOCK、WAHOO WHEAT、SKIP JACK STOUTがあった。
ニューオリンズでもビール。なにはなくともビールである。
特記すべきはフレンチ・クオーター西のクレセント・ブルーワリー。
店内に醸造所を持っていて、4種の自ビールを製造。食事も出来る。土地のカキ、キャットフィッシュ(なまず)等はまずまずであった。ニューオリンズ、ビール酒場の筆頭だろう。間口はさほどでもないが、店内は奥に深くなっていて、入って手前右に醸造所、センターに奥に長いカウンター。テーブル席は奥に少しあったようだ。
ピルスナー、RED STALLION、BLACK FORREST、未飲の小麦ビールもあった。
しかしニューオリンズでは、やはり銘酒アビータを挙げたい。
アビータもやはりマイクロブリュワリーと言ってよい、おもにラガーをメインとする醸造所だ。自前のブルーパブは持っていないようで、醸造所はニューオリンズからポンチャートレイン湖の有料道路を越えてすぐの街ABITA SPRINGSにある。
これらゴールデン、アンバー、ターボドッグの3種を市内あちこちのバーやレストランで飲んだが、甘みのあるやや色の濃いターボドッグが飽きずに飲めた。南国の花の香りさえ感じるアンバーが次、どういうわけか普段なら美味しく飲めるはずのドライでホップの効いたゴールデンは、私の体調のせいか、美味しく飲めなかった。
ニューヨークでも、熱狂的にビール行脚を続ける。
マリオット・イースト・サイド・ホテルにトランクを入れて30分後にはE.47丁目のマギーズ・プレイスのカウンターにドッカリと座る。とりあえず、目の前のタップからサンフランシスコ産のシエラネバダのピルスを1杯。つづいてサラナを1杯。気のいいバーテンと話が弾み、次々とワイングラスでいろいろなブランドを試飲させてくれる。つまみなしなので忽ち酔眼。でそのバーテンが「絶対、最高、もーカナワン」と薦める34丁目のジンジャー・マンへ行くことにする。さてジンジャーマンである。ホント、N.Y.最強である。世界のビールを飲ませる店としては地上最良のパラダイスといっても大袈裟じゃない。まさにビール好きの天国である。
店内は広い。奥行きもある。カウンターが入り口から奥までのびていて、そのカウンターの前の壁に生ビールのタップ、いわゆる注ぎ口が何十と突き出ている。
メニューに記載されたドラフト・ビールの欄にペールが22種、アンバーが19種、ダークが23種、勢揃い。
驚きと期待に満ちた私は、美形ウェイトレスに質問する。
「全部飲めるの?」、「もちッ!」
素晴らしい。豪華だ。キラ星のごときラインナップ。目に涙、口に涎、肌に泡、身震いするほどの感動である。
参考までにペールはベルギーから、HOEGAARDEN チェコから、PILSNER URQELL イギリスからはBODDINGTON アイルランド、HARP ドイツPAULANER、 FRANZISKANER アメリカANCHOR,NEW AMSTERDAME,SIERRA NEVADA,BROOKLIN等などそうそうたる銘酒が並ぶ。
ついでにアンバーは、イギリスBASS,FULLER,YOUNGときて、フランスGRAIN D´ORGE アイルランドMURPHY´S スコットランドMCEWAN´Sと続き、アメリカOLD FOG HORN,SAMUEL ADAMS,SOUTHAMPTON,STOUDT´Sドーダラコーダラ。
めんどうだダークもいっちゃう。
ベルギーMAREDSOUS ドイツKOSTRIZER イギリスNEW CASTLE BROWN ALE オランダLA TRAPPEアメリカCATAMOUNT,PETE´S WICKED ALE,WILD GOOSEアレソレ。ドーダ、文句あっかである。
全て、押しなべて、下面発酵だ、2条麦だ、ホップだ、いやモルトだ、瓶だ缶だ生だ、アレヤコレヤのありとあらゆる好みと味を越えて、ビール好きの希望と理想と知恵の総結晶である。1週間せめて5、6日の休暇がとれるなら、ビール好きのあなた、ニューヨークへ飛べ。
初めてニューヨークに行ったときに、ただの観光者気分で訪れたのが、マクソーリーズ。
あのあたりには高いビルがないのだが、それにしてもあの古ぼけた店の前に立ったときは正直驚いた。29歳の8月。とても暑い夏だった。
当時は現在ほど、ユニオン・スクエアやバワリーあたりが安全ではなくて、一人で5番街でバスを降りて、2番街近くまで歩いたときは怖かった。
見上げると古色蒼然とした例の看板である。MCSORLEYS ALE HOUSE。
入ると真夏だというのにほぼ真ん中にでんとでかいストーブがある。これでまずふつうは出鼻をくじかれるだろう。夏なのでの使われていないが明らかに寒くなると現役で働いていますという主張がその黒々とした存在からありありと伺える。店は2部屋からなっていて、手前には常連が、奥には近くの大学の学生たちがたむろっているように見えた。あのころは好奇心だけは人一倍あるものの、ビールとエールの違いもまだわからないヒヨッコだったから、「とりあえずビール」とばかりに1杯だけ頼んで、一人寂しくすすりながら人物鑑賞しただけだった。外に出るとすごい夕立になっていて、30分駆けて宿まで帰った記憶がある。





