イギリス編 その1
坂道を5分ほど昇って、ポープを置いてあるSHIP INNへ行く。
店の外見とウインドーからチラリと覗いた整然とした印象とは大きく違って、店内は賑やか。はっきりいうと申し訳ないが客層は下品だ。カウンターの中の従業員はどうみても10代のアルバイトである。店の奥でも、カウンターの脇でも酔っぱらいたちが大騒ぎをしている。ともあれ、念願のエルドリッジポープである。まず、HARDY COUNTRY BITTERを1パイント。
うーん、もっと芳醇なビールを予想してた。モルトもホップもあっさり系である。
次はROYAL OAKを1パイント。これも予測を覆される味わいだ。豊かなボデイを期待していたが、ハーデイ・カントリーよりややフルーテイであるものの、私には滋味溢れるビールとは思えない。
街の入り口にポープの醸造所があったから、明日行って、ボトルに製造年月日が記されているというTHOMAS HARDY ALEを工場で試飲してみようとその夜はひきあげた。
ドーチェスターは実にいい街である。明るく、町並みが整然として、町の大きさも丁度いい。端から端まで歩いて充分回れる大きさ。宿、商店、食堂も街の大きさの割にはそろっていて、しかも老舗が多く、したがって水準も高い。ロンドンまでいかなくてもある程度以上の物が買えるようだ。宝飾品、靴屋、釣具屋、鞄屋が充実しているのは貴重だ。
私はこの地方にはポープとバジャーの2つの醸造所があるというだけでも嬉しく、緩やかな坂道を上り下りし、散歩していた。
何度か前を通って、気にはなるのだが、まさかという気持ちだった。看板にBREWとあるのだ。夜に通った時には、客が数人しかいなかった。寂しい酒場の印象だった。
しかし、看板にはGOLDFINCH BREWと紛れなく刻まれている。
ようし、行くぞ。入り口は横脇にあり、ドアを開けて、すぐ左にL字型のカウンター。その奥にテーブル席が6つほど。バーマンはここもバーさんである。手元に一緒に取った写真があるが、どう見ても80歳以上に見える。75歳以下ということは絶対ないと断言する。客は私たちの他に中年男性が2人。
にこやかなおばあさんに3種のうち、どれが良いと聞くと、全部。
よもやと思い、ここで作っているのと聞いたら、この裏で息子がつくっている。
そうか、ここは本当にマイクロブリュワリーなんだ。
最初はTOM BROWN。初期比重1036/40を1パイント。旨いビターだ。
つぎはFLASHMANS CLOUT。初期比重1046/44。これもいい。この地方の豊かな大地で育った麦がたっぷりはいっているようだ。
最後はGOLDFINCH。いいエールだ。
おばあさんの話だとこのビールはこの店と一部をSALISBURRYでしか売られてないそうだ。トイレに入ったとき、その奥にある醸造室を覗いてみた。ドアにBREW1とBREW2とあり、2のドアをそっと開けたら、紺のTシャツにジーンズの息子らしい男がタンクの横で椅子に座って新聞を読んでいた。仕込まれたビールはいま静かに発酵中のようだ。頑張って。
ドーチェスターは本当にいい街だった。
ロンドン、ヒースローから帰国の前日は、HENLEY ON THAMESに宿を取った。ヘンリーはボートのレガッタが盛んな町だとどこかで読んでいた。私の大好きなビター、ブレイクスピアの産地だ。出発前に地図とにらめっこしつつ、いくつか候補はあったのだが、旅の最終日の宿泊地だけは事前に決めていた。
テームズ川に沿って、4155線を進むと、木々の間からボートをこぐ人々の姿が多くなっていく。ローマ時代を彷彿とさせる石橋を渡ると前にほぼまっすぐな大通りがやや昇りながらのびている。右には四角いタワーを持つ教会がある。ヘンリーオンテームズである。通りの両側にはびっしりと小店舗が続き、ところどころにホテルやら銀行やら酒場が見える。横に入る何本かの道にも商店街は続いている。とりあえず街を一回りして、今度は逆方向からまちへ入る。1本中に入った路地に酒場の2階が宿になっている古ぼけたレンガ造りの小振りの建物が見えた。レガッタをこぐ男たちを描いた酒場看板が夕暮れ空にライトアップされている。
宿の名前はROW BARGE INN。HENLEY BREWERY BRAKESPEAREの看板も見える。
黒光りするドアを開けて、中に入ると、いきなりカウンター。ここもヤハリ、おばさんがバーマン。今夜開いてると聞いたら、開いてる。部屋を観るかい。
バスルームは別だが、部屋代は安い。ここに決めた。
部屋はピンク一色で、先ほどのおばさんのかつての部屋らしい。バスルームにいたっては完全に彼女のプライベートだ。シャンプーだのリンスだの香水やら石鹸はすべて、彼女が日頃使っている物だ。なんか女友達の家に遊びに来た気分で、お風呂を使わせてもらった。
汗を流したあとは酒場巡りである。川に沿った船着き場のボートハウスからすこし脇に入ったところに、THE ANCHORがあった。
この街はどこへいってもブレイクスピアである。このブランドには通常2種あってビターとスペシャル。スペシャルのほうが若干ドライな感じがするが、どちらも口当たりがよく、キレのいいさわやかなビターだ。店内はほぼ満席で、やたらに横縞シャツの男女が多い。ボートの試合があって、その打ち上げをやっていたのかもしれない。
どこのパブもブレイクスピアなので、宿へもどって、下の酒場で飲むことにした。
夜がふけると近所の若者たちが集まってきて、TVでサッカーの観戦。大騒ぎでこの地方のチームを応援する声が深夜までとぎれない。この夜はブレイクピアのみ4パイント飲んだ。
店の外見とウインドーからチラリと覗いた整然とした印象とは大きく違って、店内は賑やか。はっきりいうと申し訳ないが客層は下品だ。カウンターの中の従業員はどうみても10代のアルバイトである。店の奥でも、カウンターの脇でも酔っぱらいたちが大騒ぎをしている。ともあれ、念願のエルドリッジポープである。まず、HARDY COUNTRY BITTERを1パイント。
うーん、もっと芳醇なビールを予想してた。モルトもホップもあっさり系である。
次はROYAL OAKを1パイント。これも予測を覆される味わいだ。豊かなボデイを期待していたが、ハーデイ・カントリーよりややフルーテイであるものの、私には滋味溢れるビールとは思えない。

街の入り口にポープの醸造所があったから、明日行って、ボトルに製造年月日が記されているというTHOMAS HARDY ALEを工場で試飲してみようとその夜はひきあげた。
ドーチェスターは実にいい街である。明るく、町並みが整然として、町の大きさも丁度いい。端から端まで歩いて充分回れる大きさ。宿、商店、食堂も街の大きさの割にはそろっていて、しかも老舗が多く、したがって水準も高い。ロンドンまでいかなくてもある程度以上の物が買えるようだ。宝飾品、靴屋、釣具屋、鞄屋が充実しているのは貴重だ。
私はこの地方にはポープとバジャーの2つの醸造所があるというだけでも嬉しく、緩やかな坂道を上り下りし、散歩していた。
何度か前を通って、気にはなるのだが、まさかという気持ちだった。看板にBREWとあるのだ。夜に通った時には、客が数人しかいなかった。寂しい酒場の印象だった。
しかし、看板にはGOLDFINCH BREWと紛れなく刻まれている。
ようし、行くぞ。入り口は横脇にあり、ドアを開けて、すぐ左にL字型のカウンター。その奥にテーブル席が6つほど。バーマンはここもバーさんである。手元に一緒に取った写真があるが、どう見ても80歳以上に見える。75歳以下ということは絶対ないと断言する。客は私たちの他に中年男性が2人。
にこやかなおばあさんに3種のうち、どれが良いと聞くと、全部。
よもやと思い、ここで作っているのと聞いたら、この裏で息子がつくっている。
そうか、ここは本当にマイクロブリュワリーなんだ。
最初はTOM BROWN。初期比重1036/40を1パイント。旨いビターだ。
つぎはFLASHMANS CLOUT。初期比重1046/44。これもいい。この地方の豊かな大地で育った麦がたっぷりはいっているようだ。
最後はGOLDFINCH。いいエールだ。
おばあさんの話だとこのビールはこの店と一部をSALISBURRYでしか売られてないそうだ。トイレに入ったとき、その奥にある醸造室を覗いてみた。ドアにBREW1とBREW2とあり、2のドアをそっと開けたら、紺のTシャツにジーンズの息子らしい男がタンクの横で椅子に座って新聞を読んでいた。仕込まれたビールはいま静かに発酵中のようだ。頑張って。
ドーチェスターは本当にいい街だった。
ロンドン、ヒースローから帰国の前日は、HENLEY ON THAMESに宿を取った。ヘンリーはボートのレガッタが盛んな町だとどこかで読んでいた。私の大好きなビター、ブレイクスピアの産地だ。出発前に地図とにらめっこしつつ、いくつか候補はあったのだが、旅の最終日の宿泊地だけは事前に決めていた。

テームズ川に沿って、4155線を進むと、木々の間からボートをこぐ人々の姿が多くなっていく。ローマ時代を彷彿とさせる石橋を渡ると前にほぼまっすぐな大通りがやや昇りながらのびている。右には四角いタワーを持つ教会がある。ヘンリーオンテームズである。通りの両側にはびっしりと小店舗が続き、ところどころにホテルやら銀行やら酒場が見える。横に入る何本かの道にも商店街は続いている。とりあえず街を一回りして、今度は逆方向からまちへ入る。1本中に入った路地に酒場の2階が宿になっている古ぼけたレンガ造りの小振りの建物が見えた。レガッタをこぐ男たちを描いた酒場看板が夕暮れ空にライトアップされている。
宿の名前はROW BARGE INN。HENLEY BREWERY BRAKESPEAREの看板も見える。
黒光りするドアを開けて、中に入ると、いきなりカウンター。ここもヤハリ、おばさんがバーマン。今夜開いてると聞いたら、開いてる。部屋を観るかい。
バスルームは別だが、部屋代は安い。ここに決めた。
部屋はピンク一色で、先ほどのおばさんのかつての部屋らしい。バスルームにいたっては完全に彼女のプライベートだ。シャンプーだのリンスだの香水やら石鹸はすべて、彼女が日頃使っている物だ。なんか女友達の家に遊びに来た気分で、お風呂を使わせてもらった。
汗を流したあとは酒場巡りである。川に沿った船着き場のボートハウスからすこし脇に入ったところに、THE ANCHORがあった。
この街はどこへいってもブレイクスピアである。このブランドには通常2種あってビターとスペシャル。スペシャルのほうが若干ドライな感じがするが、どちらも口当たりがよく、キレのいいさわやかなビターだ。店内はほぼ満席で、やたらに横縞シャツの男女が多い。ボートの試合があって、その打ち上げをやっていたのかもしれない。
どこのパブもブレイクスピアなので、宿へもどって、下の酒場で飲むことにした。
夜がふけると近所の若者たちが集まってきて、TVでサッカーの観戦。大騒ぎでこの地方のチームを応援する声が深夜までとぎれない。この夜はブレイクピアのみ4パイント飲んだ。





