旅・宿・移住

2008/02/12

ベルギー編

瓶や缶なら、日本でも飲める。世界のビール酒場行脚のワケは、「生」である。できることなら、工場直送の生を心おきなく飲んでみたい。それが、ベルギー・ビールなら、至福の時間になる。

さてさてベルギーである。ベルギーのビール酒場の話である。
真冬のベルギーは寒い。北海からの風が痛いほど、身にしみるのである。
凍れるほどの屋外から、心温まるビール酒場に入り、一口やると身も心も和む。
ブラッセルへ行き、最初にいったのがグラン・プラス近くのファルスタッフFALSTAFF。
この時は6人の仲間と一緒に訪れたので30種類ほどあるベルギー・ビールをほとんど飲んだ。ロイ・シャイダーを少し優しくしたような表情のウエィターがつぎからつぎへと注文するビールに最後には呆れたように笑っていた。あの時は飲んだ。6人でかたっぱしから言わば廻しのみをした。ムール貝やワッテルゾーイ等のベルギー料理も頼んだが、メインはベルギー・ビールであった。
ファルスタッフは多分ブルッセルで一番有名なビール酒場だと思う。
有名どころはほぼ揃っている。英国ビールも数種あるし、ビール好きならあえて手を延ばさないステラとかハイネケン、カールスバーグなんかも置いてある。
しかし、瓶ビールがほとんどなのが残念である。せめてレフとかグリンバーゲンとかヒューガルテンとかは是非生で置いて欲しいと思うのは私だけではないだろう。
ともあれ古き良きアールヌーボー・スタイルの老舗である。
一度はおいでである。

ラ・ベカッセLA BECASSEというビール酒場がある。
グランプラスの近く、証券取引所の裏あたり、のタボラ通りにある。
この店の雰囲気はどう表現したらよいだろう。
ブルッセロワ(ブルッセルっ子)にとっての居酒屋といった雰囲気だろうか。
ここでしか飲めないこのランビックははたしてどう表現したら分かっていただけるだろう。
ビールのワインなのである。
最初飲んだ時はびっくりした。まるで酸味の強い、微炭酸のワインなのだ。注文の人数に合わせた陶器の壷に入れてくる赤みがかったビールをグラスに注ぐと、微かにガスの発泡が見られ、口に含むとワインのようだがやはりビールを思わせるモルト感がする。
ランビックはベルギーでしか作られていない上面発酵のビールだ。
小麦・大麦とホップと水だけで、野生酵母を使って自然発酵させて作ると言われている。
開口の樽で繰り返し発酵を繰り返す。通常は三次発酵までおこない、よいランビックは樫のワイン樽で三年ほど熟成させ、古いものに新しいものをつぎ足すとも聞いた。
2度目に訪れた時はランビックの白も飲んだ。これにもぶっとんだ。
夏らしい軽快なレモンを思わせる独特の酸味の強い味わいだった。
ランビックは大麦と小麦の両方を混ぜ合わせて醸造する。してみると白は主に小麦だけで作られているのかも知れない。
いずれもベルギービールの傑作だ。
ラ・ベカッセはビールもよいが店も味わい深い。
通りの人通りをあえてさけるかのように、京都の先斗町のような、奥まったところにある入り口のドアはアールヌーボー調だ。広くはない店内には、椅子とテーブルがぎっしりと詰まっている。満員になる夜は息苦しいほどだが、BGMもまったくない物静かな店内に常連たちがお決まりの席を占め、観光客が遠慮がちに飲みなれない特異なランビックをチビチビを啜っているさまは、これまでもこれからも変わらないだろうという予感さえしてわたしには好ましい限りだ。





この記事のトラックバックURL:

特集

何も足さない究極の「原音」に触れる 「知名御多出横」
会員登録プレゼント

新着こだわりコラム

自転車に夢中

2008/11/21 自転車に夢中 ピストでゆ…

大人の男のためのオペラ入門塾

2008/11/21 大人の男のた… 指揮者につ…

ほろ酔い蕎麦屋めぐり

2008/11/20 ほろ酔い蕎麦… 福岡で出会…

文房具に寄す

2008/11/20 文房具に寄す 文房具を撮る

野外はドコデモ隠れ家だ

2008/11/20 野外はドコデ… グルメは歩…