ベルギー編
リエージュを昼ころ出発し、ブルッセル経由アントワープに向かって高速E40を飛ばしていた。すると右の道路案内にTIENENと出た。一瞬あれ、と思った。
数キロ走ると今度は案内板のTIENENの下にHOEGAARDENと出た。
えー、ヒューガルテン村だ。アントワープで昼食と思っていたが予定は急遽中止。直ちにE40をおりてヒューガルテン村に向かった。
じつは日本でビール関連の本を読んでいて、私が愛してやまない世界最高の白ビール、ヒューガルテンはチーネンの近くにあると分かっていた。しかし、ベルギーは決して大きな国ではないが、私の老眼めいた目ではミシュランの地図で何度試みても探せなかったのである。高速を降りてたちまち私たちはヒューガルテン村に入った。うまくいくときはこんなにも話は順調にすすむのが人生である。チーネンの位置は高速を挟んで丁度反対側になるだろうか。ここは小さな村である。家々もまばらである。しかし、村の入り口では早速ヒューガルテンの大きな工場がお出迎えである。工場入り口の門にはレストランはこの先と表示してある。
そうか、するとDE KURUIS醸造所とレストラン、KOUTERHOFはそっちだ。
私はパーキングに車をいれるや、レストランに急いだ。遅くなると閉めてしまう店がヨーロッパにはおおいからだ。しかし、心配は杞憂だった。
テーブルに落ち着き、まず、グランクリュを1杯。濃厚だ。
それから通常の白を1杯。軽快だ。目の前の工場で作られているせいだろう。とても若く新鮮な気がする。ここの工場ではもう1種DASという製品も作っていて、これも1杯。
アルト系の立派なビールだ。
昼食は鮭のムニエルとビーフを選んだ。料理もいい。私は2杯目の白を頼んだ。
店内は地下のワインセラーを思わせる造りになっていて、一段上がった工場側のテーブルにはドイツ人の団体が大騒ぎしていた。
食事が終わって土産売場を冷やかしていたら、十代の可愛らしい少女が習いたての英語で、3時から工場見学がありますが、いかがでしょうかと聞く。OKである。
定刻に案内のおじさんが現れ、集まった10数人の国を尋ねる。地元フレミッシュあり、ドイツあり、スウエーデンあり、日本ありである。工場の解説は英語で始まった。
醸造所見学は私の趣味とするところ。実際、ビールの製法は世界各地どこへいってもそれほど差がないし、多くは会社側のおきまりな広報活動の一環としてやっていることがおおい。それでも私は満足だ。それぞれのわずかな違いがおもしろいし、旨いビールを醸造する会社は見学においても関心させられる点が多いからだ。ビールに自信のある会社はその自信がこちらに伝わってくるのだ。ヒューガルテンもその好例であった。
この工場で作られているヒューガルテンの特色はご承知のように、コエンドロとオレンジキュラソーの味付けが個性的なホワイトビールだ。ガイド氏の説明では小麦と大麦を同量使用し、ボトリングの際に再度イーストと糖分が加えられるということだった。そうか、それで生とボトルでは微妙に味わいが異なるのだ。ホップは生ではなく、ペレットを使用していた。
見学が終わると万国共通のお楽しみの試飲である。私はさっきあんなに飲んだのに再び白とダスを1杯づつ。満面の笑顔で隣のテーブルを見ると先ほど一緒に工場を回っていた10代前半の少年が白ビールをグイグイ飲んでいる。両親も同席なのでいいのときいたら、この地方では(アントワープ郊外居住)普通だよ、とどこ吹く風である。私が2敗目のダスをのんでいたらあの少年も父親のグラスからもらいのみしていたもの。ドイツの少年たちもよく飲んでいたが、ベルギーの若者も立派だ。
さらに驚いたのはガイド氏。仕事中なのにたちまち白とダスの2杯を開け、みんなが飲んだ伝票にサインして、笑顔で職場にもどっていきました。ビール工場のガイド、これも実にいい仕事だ。喜びに満ちている。
前にも書いたDE KONINCK。
これがベルギーで一番旨いビールだと長い間信じてきた。800種とも1000種とも言われるベルギービールのうち、これが私には一番旨いとこれまで信じていた。もう一度、チャンスを作って、できることなら工場直送の生を心おきなく飲んでみたいと長い間思ってきた。直送の生なら、飲むべき酒場は決まっている。ピルグリムである。
さて、肝心の酒場である。
おおきな店ではない。予想以上にこじんまりとした酒場だ。はいると右に小さなカウンター。ビールサーバーも2つ。キュベーと通常品。デ・コーニンクのみの専門店なのだから当然だ。テーブルは奥に2つ、脇に1つあり、これは常連でふさがっていた。左がダイニングルームになっていて窓際にそってテーブルが3つ。奥に3つ。都合30人も入ればいっぱいになってしまいそうだ。
最初はCUVEEの生。確かに彼女が言うとおり甘い。初めて飲んだのは厳寒の1月だった。あの時とはビールを取り巻く環境状況が異なりすぎているのかもしれない。
2敗目は通常のデコーニンク。これはいい。複雑味わい。一言では表現不可能な味わいだ。記憶のままのビールだ。まだすこし蔵出しだの若さと甘さは感じるが、だれがなんと言おうと私には世界的名品である。
アルトでもなければビターでもない。この国ならでは、このアントワープの街でしか飲めない1品だ。
ビールが若いせいか、モルトが強く、炭酸もこころなしか強い。しかし、フルボデイである。いいの、いいの。わたしはこのために来たのだ。このビールのためにきたのだ。夕食は隣に座っていた地元夫婦が薦めてくれた特製スペアリブ。これにも甘いソースがかかっている。これがここの味なのだ。もう1杯いきましょう。
数キロ走ると今度は案内板のTIENENの下にHOEGAARDENと出た。
えー、ヒューガルテン村だ。アントワープで昼食と思っていたが予定は急遽中止。直ちにE40をおりてヒューガルテン村に向かった。
じつは日本でビール関連の本を読んでいて、私が愛してやまない世界最高の白ビール、ヒューガルテンはチーネンの近くにあると分かっていた。しかし、ベルギーは決して大きな国ではないが、私の老眼めいた目ではミシュランの地図で何度試みても探せなかったのである。高速を降りてたちまち私たちはヒューガルテン村に入った。うまくいくときはこんなにも話は順調にすすむのが人生である。チーネンの位置は高速を挟んで丁度反対側になるだろうか。ここは小さな村である。家々もまばらである。しかし、村の入り口では早速ヒューガルテンの大きな工場がお出迎えである。工場入り口の門にはレストランはこの先と表示してある。そうか、するとDE KURUIS醸造所とレストラン、KOUTERHOFはそっちだ。
私はパーキングに車をいれるや、レストランに急いだ。遅くなると閉めてしまう店がヨーロッパにはおおいからだ。しかし、心配は杞憂だった。
テーブルに落ち着き、まず、グランクリュを1杯。濃厚だ。
それから通常の白を1杯。軽快だ。目の前の工場で作られているせいだろう。とても若く新鮮な気がする。ここの工場ではもう1種DASという製品も作っていて、これも1杯。
アルト系の立派なビールだ。
昼食は鮭のムニエルとビーフを選んだ。料理もいい。私は2杯目の白を頼んだ。
店内は地下のワインセラーを思わせる造りになっていて、一段上がった工場側のテーブルにはドイツ人の団体が大騒ぎしていた。
食事が終わって土産売場を冷やかしていたら、十代の可愛らしい少女が習いたての英語で、3時から工場見学がありますが、いかがでしょうかと聞く。OKである。
定刻に案内のおじさんが現れ、集まった10数人の国を尋ねる。地元フレミッシュあり、ドイツあり、スウエーデンあり、日本ありである。工場の解説は英語で始まった。
醸造所見学は私の趣味とするところ。実際、ビールの製法は世界各地どこへいってもそれほど差がないし、多くは会社側のおきまりな広報活動の一環としてやっていることがおおい。それでも私は満足だ。それぞれのわずかな違いがおもしろいし、旨いビールを醸造する会社は見学においても関心させられる点が多いからだ。ビールに自信のある会社はその自信がこちらに伝わってくるのだ。ヒューガルテンもその好例であった。
この工場で作られているヒューガルテンの特色はご承知のように、コエンドロとオレンジキュラソーの味付けが個性的なホワイトビールだ。ガイド氏の説明では小麦と大麦を同量使用し、ボトリングの際に再度イーストと糖分が加えられるということだった。そうか、それで生とボトルでは微妙に味わいが異なるのだ。ホップは生ではなく、ペレットを使用していた。
見学が終わると万国共通のお楽しみの試飲である。私はさっきあんなに飲んだのに再び白とダスを1杯づつ。満面の笑顔で隣のテーブルを見ると先ほど一緒に工場を回っていた10代前半の少年が白ビールをグイグイ飲んでいる。両親も同席なのでいいのときいたら、この地方では(アントワープ郊外居住)普通だよ、とどこ吹く風である。私が2敗目のダスをのんでいたらあの少年も父親のグラスからもらいのみしていたもの。ドイツの少年たちもよく飲んでいたが、ベルギーの若者も立派だ。

さらに驚いたのはガイド氏。仕事中なのにたちまち白とダスの2杯を開け、みんなが飲んだ伝票にサインして、笑顔で職場にもどっていきました。ビール工場のガイド、これも実にいい仕事だ。喜びに満ちている。
前にも書いたDE KONINCK。
これがベルギーで一番旨いビールだと長い間信じてきた。800種とも1000種とも言われるベルギービールのうち、これが私には一番旨いとこれまで信じていた。もう一度、チャンスを作って、できることなら工場直送の生を心おきなく飲んでみたいと長い間思ってきた。直送の生なら、飲むべき酒場は決まっている。ピルグリムである。
さて、肝心の酒場である。
おおきな店ではない。予想以上にこじんまりとした酒場だ。はいると右に小さなカウンター。ビールサーバーも2つ。キュベーと通常品。デ・コーニンクのみの専門店なのだから当然だ。テーブルは奥に2つ、脇に1つあり、これは常連でふさがっていた。左がダイニングルームになっていて窓際にそってテーブルが3つ。奥に3つ。都合30人も入ればいっぱいになってしまいそうだ。
最初はCUVEEの生。確かに彼女が言うとおり甘い。初めて飲んだのは厳寒の1月だった。あの時とはビールを取り巻く環境状況が異なりすぎているのかもしれない。
2敗目は通常のデコーニンク。これはいい。複雑味わい。一言では表現不可能な味わいだ。記憶のままのビールだ。まだすこし蔵出しだの若さと甘さは感じるが、だれがなんと言おうと私には世界的名品である。
アルトでもなければビターでもない。この国ならでは、このアントワープの街でしか飲めない1品だ。
ビールが若いせいか、モルトが強く、炭酸もこころなしか強い。しかし、フルボデイである。いいの、いいの。わたしはこのために来たのだ。このビールのためにきたのだ。夕食は隣に座っていた地元夫婦が薦めてくれた特製スペアリブ。これにも甘いソースがかかっている。これがここの味なのだ。もう1杯いきましょう。





