色っぽいお猿さんと混浴するのが夢(地獄谷温泉)
「お猿さんといっしょに、またお風呂に入りたい…」。そんな念いを込めてやってきたのが、秘湯の一軒宿地獄谷温泉後楽館である。長野県北部、群馬県との県境に近い山あいにひっそり佇む露天風呂入浴は最高の気分。でも、ふっと上を見上げれば、そこには人の顔がチラリホラリ。お尻丸出しの哀れな姿で、あわてて湯船を飛び出してしまったのだ…。
「あのな、お猿さんてな、お風呂入る時、後ろ向きに入りよるんやで。色っぽいもんや」。今から3年ほど前に訪れた地獄谷温泉での体験談である。横湯川渓谷沿いの造られた行楽館の岩囲いの露天風呂に浸かっている時に、さり気なく入ってきたのが、冒頭の清楚なお猿さんだったのだ。ここは信州信濃の山あいにひっそりとたたずむ地獄谷温泉後楽館。秘湯の宿と呼ぶにふさわしい素朴な山の一軒宿だ。すぐ近くに野猿公苑があり、そこを住処とする300匹近くものお猿さんたちが辺りを自由に行き来していることもあって、時にはお猿さんが人間さまのお風呂に紛れ込んでくるという風変わりな宿である。

そもそも、お猿の餌付けに成功したのは、この宿の名物おばあちゃんとしてファンも多かった竹節春枝さん。前回訪れたときは、我が娘もチマキの作り方を親切に教えてもらったこともあって、我が家みんなの大好きな宿の1つなのだ。今回は、以前はクラブの用事で来ることのできなかった中学2年生の息子を伴って、今温泉はしご旅シリーズの初回を飾るべく、再び取材にやってきたというわけである。
上信越自動車道信州中野ICから車で10分。駐車場に車を置いて、渓谷沿いの山道を辿って10数分歩いていけば、山の谷間に一軒ポツリと佇む後楽館に辿り着く。宿に入るや、一目散に目指したのは、言うまでもなくあの懐かしの露天風呂(立ち寄り湯500円)である。源泉が川岸から勢い良く吹き上がる大噴泉を対岸に眺めることができるというダイナミックな景観に包まれた野趣あふれるお風呂である。しかし、息子と二人仲良く入っていたものの、ふっと上を見上げておったまげた。対岸山頂付近に張り付くように造られた野猿公苑の見晴し台から、こちらが丸見え状態ではないか。今まで何度もこの入っていたのに気が付かなかったとは、何たる不覚。慌ててタオルをそろそろと前に引き寄せながらもお尻丸出し状態で、そそくさと内湯へと退散してしまったのだ。 




