特殊な靴。
今回もまた、ブーツ特集である。
ただし、
今週は、タダ(無料という意味ではない)の長靴ではない、特殊な長靴を紹介したい。
その随一がこれ。東京神田さかいやのオリジナル登山靴。
山岳愛好家には、お馴染みのさかいやだが、私はこのブーツを冬の北海道限定で履こうと思い、2002年秋に神田神保町で買った。
・・・随分重いな、と手にした時思った。見かけは武骨だが、足入れは容易だ。合わせが二重に厚く、靴ひもで折り込むように履くので、脱着が実に簡単で、まさに職人ワザだと体感した。歩いてみるとジッシリと重いけれども、歩みを止める重さではなく、その手強さが心地良さに替わり、やがて推進力に変わる、制御可能な重みだという予感がした。
「これ、履いて帰ります」私は、それまで履いていたナイキのトレッキング・シューズを紙袋にぶら下げて、歩いて神楽坂の自宅まで帰った。
以来、私は、当初の冬限定靴としてではなく、一年中美瑛でも東京でも履いている。
正直に白状すると、これを履いた気分のよさは、なんだか言葉なんかじゃ説明したくない快適さなんだ。
履く頻度が多いから、附属の靴ひもはとうに切れてしまい。二代目もこの有様である。日数的にも、かれこれ300日以上履いているので、ご覧のとおり、表面はキズだらけだが、むしろ貫禄というべきで、肝心の頑丈なビブラム底には、全く損傷はみられない。
丸4年履いて、素晴らしいグッズである、と納得した私は、昨年の秋、予備を再購入のため、神田神保町のさかいやシューズ店を訪れた。しかし、店内には、近年発表されたハイファッションで高性能の登山靴がズラリと並んでいたが、私の探すオリジナル靴は無い。
スタッフに聞く。「こうした靴を作る職人さんがいなくなって、製造中止になりました」と、アッケラカンと言う。
・・・日本の将来って、絶対によくならないな、と相変わらずボヤキながら、私は九段坂を昇って帰った。
今じゃシンジラレナイが、このブーツにチノパンを合わせて、都内を闊歩していたことがある。
いやはやなんとも、映画『真夜中のカーボーイ』のようである。
ヤボなことをしたもんだ、と恥じているわけではない。あえて言うと、あの格好でも、なんら違和感なかった、あの頃の自分自身が最早どこかに消え去ってしまい、どこにもその余韻すらない、って感じかな。
久々に、このトニー・ラマのウエスタン・ブーツを手にとって、しげしげ眺めると、なんだか、嫌になるほど感慨が深い。まるで、仲を裂かれるように別れた、かつての愛人に再会したかのよう。
・・・・トップリフト(かかと)は交換しなくちゃならないけど、他には全くトラブルはないな。ウーン、どうしたもんか。
この秋には、カーキのパンツにオーストラリアで買ってきたソフトハットを合わせて、出掛けてみるかなという、いやらしい気分が、今高まってきている。

山岳愛好家には、お馴染みのさかいやだが、私はこのブーツを冬の北海道限定で履こうと思い、2002年秋に神田神保町で買った。
・・・随分重いな、と手にした時思った。見かけは武骨だが、足入れは容易だ。合わせが二重に厚く、靴ひもで折り込むように履くので、脱着が実に簡単で、まさに職人ワザだと体感した。歩いてみるとジッシリと重いけれども、歩みを止める重さではなく、その手強さが心地良さに替わり、やがて推進力に変わる、制御可能な重みだという予感がした。
「これ、履いて帰ります」私は、それまで履いていたナイキのトレッキング・シューズを紙袋にぶら下げて、歩いて神楽坂の自宅まで帰った。
以来、私は、当初の冬限定靴としてではなく、一年中美瑛でも東京でも履いている。
正直に白状すると、これを履いた気分のよさは、なんだか言葉なんかじゃ説明したくない快適さなんだ。
履く頻度が多いから、附属の靴ひもはとうに切れてしまい。二代目もこの有様である。日数的にも、かれこれ300日以上履いているので、ご覧のとおり、表面はキズだらけだが、むしろ貫禄というべきで、肝心の頑丈なビブラム底には、全く損傷はみられない。
丸4年履いて、素晴らしいグッズである、と納得した私は、昨年の秋、予備を再購入のため、神田神保町のさかいやシューズ店を訪れた。しかし、店内には、近年発表されたハイファッションで高性能の登山靴がズラリと並んでいたが、私の探すオリジナル靴は無い。
スタッフに聞く。「こうした靴を作る職人さんがいなくなって、製造中止になりました」と、アッケラカンと言う。
・・・日本の将来って、絶対によくならないな、と相変わらずボヤキながら、私は九段坂を昇って帰った。
今じゃシンジラレナイが、このブーツにチノパンを合わせて、都内を闊歩していたことがある。
いやはやなんとも、映画『真夜中のカーボーイ』のようである。ヤボなことをしたもんだ、と恥じているわけではない。あえて言うと、あの格好でも、なんら違和感なかった、あの頃の自分自身が最早どこかに消え去ってしまい、どこにもその余韻すらない、って感じかな。
久々に、このトニー・ラマのウエスタン・ブーツを手にとって、しげしげ眺めると、なんだか、嫌になるほど感慨が深い。まるで、仲を裂かれるように別れた、かつての愛人に再会したかのよう。
・・・・トップリフト(かかと)は交換しなくちゃならないけど、他には全くトラブルはないな。ウーン、どうしたもんか。
この秋には、カーキのパンツにオーストラリアで買ってきたソフトハットを合わせて、出掛けてみるかなという、いやらしい気分が、今高まってきている。





