オトコの定番

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2007/04/12

穿き師トラさんの謎

【さて次回はいよいよ!・・・】
こんなやり方は、テレビ番組の常套手段だけど、
年末のプライドやらK1で、CMに入る前に
「今宵、花開くのか?一世一代の大勝負!!」

なんてナレーションとテロップがドッカーンと出ると、
よしっ、おしっこは次ぎのCMまで我慢しようと思ってしまう。
 試合への緊張と下半身の緊張とで額に油汗を流しながらCMをやり過ごすと、
目当てではない試合が始まる。「ハメられた!」と思いながらも
ついついその試合を見て、次ぎのCMの直前、
「いよいよ大晦日最終ラウンド!!」とテロップが・・・・。

ぼくはお目当ての試合のゴングをトイレの中で聞く事になる。

じゃあ、ぼくはどうかって云われると。
この一週間、あんな事を書いてしまって、とても後悔していたのでした。

【穿き師トラさん登場】
ここ数年のジーンズは、ダメ−ジ加工、ユーズド加工が大流行りで、ヒゲビンビン、
縦落ちガンガンのジーンズが横行してる。しかもその加工技術は格段と進歩して、
それこそ、古着のジーンズと比べても遜色のない色落ちのものもある。
でも何かが違うんだよな〜。

こんな時、ぼくはトラさんの事を思い出す。あれは8年程前・・・。

トラさんはぼくの元上司で、ガサツで強引だけどとても仕事の出来る人で、
最初はぼくもこんな人になりたいと思い、後にこんな人にだけはなりたくないって
思うような人だった。

ある日ぼくはトラさんに頼まれてジーンズを一本見立てた。といってもジーンズに
興味のない人だから、ごく普通の国産のジーンズなんだけど。



















そして半年後に会った時、ぼくは目を見張った。
あの時のジーンズがスゴイ色落ちをしてるのだ。
何でも、ポケットがほつれて近くのジーンズ店に補修を頼みに行ったら、
そこの店員に新品のジーンズと交換してくれってせがまれたらしい。

それこそぼくはジーンズの色落ちに躍起になっていた頃だったので、色落ちの
秘訣を聞いたのだけど、ただ『毎日穿いていただけや!』というばかり。

そんなやりとりの中ぼくはある事を思い付いた。
それは<トラさんにぼくのジーンズを穿いてもらう事>だ。
その頃のぼくは<ただのジーンズ好き>から<ジーンズバカ>に進化を
遂げつつあり、部屋の中には穿かれる事を今か今かと待っているジーンズが
山のようにあった。
普通一本のジーンズが納得するような色落ちになるにはそれだけを
穿き続けたとして、最低でも二年位はかかる。
手元にあるジーンズが40本だとして、単純計算で80年かかってしまう。
小学生の時にかけ算を習ったおかげで、かろうじてぼくは今おかれている立場に
気が付いたのだ。 良かった。
でも現実問題として、今あるジーンズだけでも、いやこのジ−ンズ達の為にも
ぼくは 100歳以上生きなければいけない。でもそれは無理だよね。

だから、「トラさんにジーンズを穿いてもらおう!」

ぼくの目論みと「タダで穿けるのなら」というトラさんとの利害関係は見事に一致し
二本のジーンズは旅立った。
ぼくは里子に出すような気持ちで二本のジーンズを見送ったのだ。

「手紙書くから・・」

10ヶ月後「もうボロボロだぞ!」という電話とともに宅配便でジーンズは戻って来た。
ぼくの元に戻って来た二本のジーンズは「トラさんにやられちゃいました。」
とぼくに囁いた。 そう!ぼくはジーンズと会話ができるのだ。でもこんな事を書くと
救急車がお迎えにくるかもしれないので、そんな気がしたという事にしておこう。
とにかくもう立派な老人なのだ。(ブログ第2稿参照)しかも、とても自然な色落ちなんだ。
ぼくのジーンズはわざとヒゲを作ったり、腿の部分をゴシゴシ擦ったり、
何となく作意的な色落ちになるのに、そんな所が見当たらない。
嫌味がないっていうか・・・。

ぼくは思った「穿き師だ!!」って。
もし世の中にジーンズを穿いて、色落ちをさせる「穿き師」なる職業が存在してたと
すれば、間違い無くトラさんは、その道の大家と成り得ただろう。
そんな事をトラさんに話したら、「お前、バカだなア」なんて言いながらも、
トラさんは嬉しそうだった。 ぼくも何だか嬉しかった。

しかし、何故たったの10ヶ月で、いや二本だったから、一本あたり5ヶ月で
こんなにクタクタになるのか、今だに謎なんだ。
トラさんはただ、『毎日穿いたいただけや』というばかり。

これだからジーンズはやめられない。





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