万年筆の写真文集『ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!』ガイド その3
9月28日に発売された万年筆の写真文集『ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!』の魅力をお伝えしてまいりましたが、今回はその3回目。最終回です。
発売と同時に初版本は売り切れてしまいましたが、昨日(10月18日)、第2版印刷分ができあがり版元に入ってまいりました。午前中には、お待ちいただいておりました800人以上の方々のもとへ出荷されていきました。一両日中に、本屋さんより「やっと入荷いたしましたよぉ!」と連絡が入るはずです。お待たせしてすみません。在庫はたっぷりございます。インクのにおいがプンプンしているできたてのホヤホヤ。
この夏に発表された、アメリカの世論調査会社ゾグビー社とロイター通信が共同で行った調査によると、アメリカ人の82%が、私たちのお隣の国の生産品の購入に関して懸念があると回答しているといいます。ここのところ、「お隣の国の製品はちょっと…。やっぱりメイド・イン・ジャパンじゃなきゃ」という声が随分と聞こえてきています。銀座の中央通りを歩いていると、日本人の、“舶来モノ信仰”を強く感じますが、国産ウナギに国産マツタケ、国産小麦に国産小豆などなど、お口に入れるものについては、やはりどこかでメイド・イン・ジャパンじゃなきゃという気もしなくはありません…。日本のメーカーには、告発されてしまった会社以外にも、あの手この手で自分たちに都合のいいようにやっているところが結構あるように思うのですが。
いつのころだったかはっきりとは覚えてはいませんが、その昔「日本語を書くには日本製の万年筆のほうがよい」ということを聞いた覚えがあります。今でもそう信じておられる方がいるのかもしれませんが、私自身、国産万年筆は、実は、「パイロット65」と父が残した「サンエス」の2本しか持っていないのですが、不都合や不便さを感じたことは皆無です。私の周囲では、万年筆について、“国産信仰”を強く主張する人はいませんが、非常に高い評価を集め、大変人気の、国産万年筆が何本もあって、気になることがしばしばです。 『ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!』に登場する魅力いっぱいの国産万年筆をご紹介しましょう。
理系の大学院出のサイエンティスト、深石崇洋さんのページ『「万年筆」をスタートするにあたって』はこれから万年筆を使おうと思っていらっしゃる方にはうってつけ。プラチナ社製「3776 バランス(PTB-5000B)を例にあげて、初心者向けの万年筆の選び方が解説されています。「私は、万年筆の値段の高さだけが、万年筆の価値を決めるわけではないと考えています。自分が好きになった万年筆を、自分の価値観で存分に楽しんでけばいいのではないでしょうか」という締めくくりの言葉に、思わず、納得であります。
どこのメーカーも節目節目に記念万年筆を発売するが、その中でも非常に高い人気を得たのが、パイロット万年筆創業85周年記念万年筆「飛翔天人」ではないでしょうか。この万年筆、奈良の薬師寺東塔の水煙をモチーフとした絵柄を蒔絵で表現したもので、1000本しか生産されなかったものです。萩尾猛さんの書いた『飛翔天人に誘われて』は、この美しい万年筆を手にするまでの“運命のストーリー”がほのぼのと描かれています。
万年筆を日本に最初に輸入した、文房具店の老舗である丸善がセーラー万年筆と共同開発し、2001年に発売された「ザ・センチュリー」は、限定2001本。綿布にフェノール樹脂をしみ込ませ高温高圧をかけて成形した新素材キャンバス・マイカルタがボディーに使われています。持ち主の高橋眞さんは、「樹脂軸、木軸、金属軸には無い、絶妙の持ち重りとバランスの心地よさが記録や手紙を書くたびに感じられます。これぞ“癒しの一本”となっています」と思いを綴っています。マイカルタの万年筆…。ラブレスのナイフとお揃いで持っていたくなります。
柘製作所といえば、世界的にも「TSUGE」として有名なスモーキングパイプのメーカーだけれど、ここ最近ではオリジナル万年筆「富士」をオンラインショップで販売しています。20代の万年筆愛好家、鈴木洋介さんが選んだ万年筆は柘製作所製の「マーブルエボナイト軸+セーラー・プロギア用中字ニブ」。「使い始めてからわずか3ヶ月足らずで、少しずつ艶が出てき始めたような気がする。撫でる日は、3時間から5時間ほど撫でているので、少し撫ですぎているかもしれないが…」と鈴木さんは書いていますが、使い込むほどに美しく変わっていくモノを手にしたことのある人なら理解できる心境だと思います。
NHKテレビの『美の壺』という番組で万年筆の特集があったときに“手タレ”として出演した松本喜代美さん。“手タレ”とは手だけ出演するタレントのこと。喜代美さんは、モンブラン149を毎日仕事で使われていて、その経験から女性にもモンブラン149を使ってみたらと『わたし、モンブラン149を毎日使っています』という文章も御寄稿くださったのだけれど、“私の一本”として選ばれたのは「セーラー象牙デスクペン」。『白鷺の象牙』と題された文章には万年筆に対する熱い思いと、元々の持ち主である森睦さんへの感謝の気持ちが書き記されています。 





