オトコの定番

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2007/09/04

行定勲監督作品『クローズド・ノート』の試写会に行ってきました!

 万年筆が登場する映画で記憶に残っているものがいくつかある。
 たとえば1983年に公開された『007オクトパシー』。
 この映画に金無垢製のモンブラン149が登場する。監禁されたボンドは、149のボディーに封入された強酸で、鉄格子を溶解し脱出する。この特製149は、ロシア皇帝の献上品「ファベルジュの卵」に仕込まれた盗聴器の受信機にもなっていた。

 もう一本。
 2001年に公開された『ビューティフル・マインド』。
 主人公ジョン・ナッシュの偉大なる功績をたたえて、同僚の権威ある学者たちがナッシュの前に万年筆を一本ずつ置いていくというシーンがあった。そのような慣習は実際には行なわれていないらしいが、ロン・ハワード監督の演出のアイディアには思わず私も万年筆を置きたくなった。

 火曜日。編集が最終段階に入った万年筆の本『ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!』(版元:南雲堂フェニックス)の作業を一時中断して、行定勲監督の最新作『クローズド・ノート』の試写会に行ってきました。
 というのも、この映画、沢尻エリカさん演じる主人公「香恵」のアルバイト先が「イマヰ万年筆」という万年筆専門店の設定なのだ。こりゃ、観ないわけにはいかない。どんな万年筆が登場するのか。










 

 舞台は京都。こんな物語である。
 教育大に通う女子大生・香恵(沢尻エリカ)は、引越しの時に前の住人が忘れていった一冊のノートを見つける。しかし大学の授業とマンドリン部での部活動、万年筆店でのバイトと日常を過ごすなか、いつしか香恵は、ノートの存在を忘れていた。
 ある日、万年筆を買いに来た画家の石飛(伊勢谷友介)に恋をする。しかしそのことを相談しようにも、親友のハナ(サエコ)は海外留学に行ってしまって、連絡もままならない。さらにハナの恋人の鹿島(田中哲司)から告白されてしまう始末。もやもやした気持ちのまま、寂しさを紛らわすかのように、香恵は、「ノート」を開いてしまう。
 ページをパラパラと捲ると、破られた最後のページ。そして一枚の集合写真が。そこには生徒に囲まれ写るノートの持ち主、伊吹先生(竹内結子)がいた。先生になることを夢見ていた香恵は、あこがれからノートを読み始める。そこに綴られている学校行事に関する日記。そして恋の苦悩。読み進めるごとに、香恵の想像の世界がどんどん広がっていく。
 やがて香恵は、石飛に「絵のモデルになって欲しい」と頼まれ有頂天になる。日記の中の伊吹の人生にシンクロするかのように過ぎ行く香恵の日常。伊吹の恋に刺激され、香恵もまた石飛への思いを募らせていく。
 しかし、やがて香恵は「ある真実」をたぐりよせる。
 それは、運命のめぐりあわせが用意した切ない真実だった…
                        (映画『クローズド・ノート』オフィシャルサイトより転載)

 同名の原作は角川書店から刊行されている。
 著者は雫井脩介(しずくいしゅうすけ)さん。代表作には、第7回大藪春彦賞受賞作の『犯人に告ぐ』(双葉社刊)や『虚貌』(幻冬舎刊)、『火の粉』(幻冬舎刊)などがある。
 『クローズド・ノート』は、角川デジックスとバンダイネットワークスが運営している携帯サイト「文庫読み放題」に2004年10月から翌8月まで連載され、100万アクセスの読者を熱狂させた作品。“ミステリー界の俊英が、初めて恋愛小説に挑んだ”と話題になった。

 主人公のアルバイト先が万年筆専門店なので、原作には実に多くの万年筆が登場する。ざっと書き出してみただけでも、こんなに登場する。
  ・ アウロラ「ミニ・オプティマ」
  ・ アウロラ「ダ・ヴィンチ」
  ・ アウロラ「アスティル」
  ・ ウォーターマン「カレン」
  ・ ウォーターマン「セレニテ」
  ・ ウォーターマン「リエゾン」
  ・ ウォーターマン「レタロン」
  ・ ヴィスコンティ「ヴァン・ゴッホ」
  ・ ヴィスコンティ「コペルニクス」
  ・ カランダッシュ「メットウッド」
  ・ カルティエ「ディアボロ」
  ・ クロス「ヴァーブ」
  ・ スティピュラ「イ・カストーニ」
  ・ セーラー「ふでDEまんねん」
  ・ デュポン「フィデリオ」
  ・ デルタ「オールド・ナポリ」
  ・ デルタ「ドルチェビータ・ミニ」
  ・ デルタ「ドルチェビータ・オーバーサイズ」
  ・ パーカー「デュオフォールド」
  ・ ペリカン「スーヴェレーンM400」
  ・ ペリカン「スピリット・オブ・ガウディ」
  ・ ペリカン「トレド」
  ・ モンブラン「マイスターシュティック149」
  ・ モンブラン「バーンスタイン」
  ・ モンブラン「スター・ウォーカー」
  ・ ラミー「2000」

 これだけ多くの万年筆が登場する小説は初めてだと思うが、万年筆愛好家の間では、残念ながら、あまり話題にはならなかった。万年筆が登場するということでは非常に興味深かったのだが、読み進めてみると、個々の万年筆を説明する際のやりとりや内容が、日頃万年筆を使っている人の視点や使用感とは少しばかり乖離しているように感じたのだ。知識だけでは小説は書けない!






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