金のトレド。銀のトレド。赤のトレド。
昨年の暮れのことだった。ボーナスが出てホクホク気分の友人から電話があった。誠にうらやましい相談を持ちかけられた。
「ボーナスでさ、ちょっとしたものを買おうかなと思っているんだけど、お前の意見を聞きたくてさ…」
「何を買おうとしているんだ? 高給取りは悩みも違うね」
「ま、そう言うなよ」
ちなみに彼は私と同じ44歳だが、まだ独身である。
「で、何を買いたいんだっけ?」
「プラズマテレビにするか、ちょっと高価な万年筆にするか、悩んでるんだ」
「万年筆?」
「ああ。万年筆だ。驚いたか?」
「驚いたよ。だって、万年筆なんて使わないんだろう、普段は」
「そうでもないんだ。使ってるんだな、これが。むかし一緒に金ペン堂に行ってもらって買っただろう」
「覚えているよ。ペリカンのM800を買ったっけなぁ」
「そうそう。緑の縞の万年筆」
「あれ、使ってるんだ?」
「しばらく使っていなかったんだけど、一昨年あたりから、また使い始めたんだ。お前の影響だよ」
「そうかぁ。あれ、たしか、中字だったなぁ」
「ペン先には“F”って入っているけど。手帳にはちょっと太いんだ。葉書を書くには、もうちょっと太いのがほしいんだ」
「プラズマテレビを買う予算というと、上限は20万円くらいってことか?」
「そうだね。20万円を上限にって考えた時、ペリカンの『ビッグトレド』ってあるじゃない。あれ、が急に気になり出してね」
ペリカン『ビッグトレド』。
『M900』とも言います。ペリカン万年筆のフラッグシップモデルの1本。ベースになっている万年筆はM800。そのボディーにトレド彫刻が施されているのだ。
ペリカンのトレドといえば、1931年から1937年まで製造されていた『ペリカンT111』にはじまって、1937年から1942年まで製造されていた『ペリカン100Nトレド』という伝説的な2種類のトレドがある。これは、時々オークションに登場するけれど、極めて希少なモデルである。お値段も100万円近くする。この復刻版が数年前に限定販売された。
万年筆愛好家にとって、『ペリカントレド』といえば、『ペリカントレドM700』を思い浮かべるのではないだろうか。1986年に登場した時には限定万年筆として発売されたが、途中から限定ではなくなり、レギュラー商品として、ペリカン万年筆の看板役を担うことになった。M700は、M400と同じサイズで、非常に手になじむ万年筆だ。
6年後の1992年に一回り大きいM800のサイズで登場したのが『ビッグトレド』である。
その後しばらくして(たしか1、2年してからだったと思うが)、銀色のトレドが登場するのだった。これが、『シルバービッグトレド』(M910)と『シルバートレド』(M710)である。この、2本の、銀色のトレドは、2001年に生産が打ち切られてしまい、最近はオークション等でしかお目にかかれなくなった。
『シルバービッグトレド』(M910)は、スイスの時計メーカー「エベル」が発注していたのが最初らしく、日本にはエベル・ファンは多くないかもしれないがフランスには根強いエベル・ファンがおり、フランス国内で『シルバービッグトレド』(M910)をもとめている人が多いということを聞いた。

「何を買おうとしているんだ? 高給取りは悩みも違うね」
「ま、そう言うなよ」
ちなみに彼は私と同じ44歳だが、まだ独身である。
「で、何を買いたいんだっけ?」
「プラズマテレビにするか、ちょっと高価な万年筆にするか、悩んでるんだ」
「万年筆?」
「ああ。万年筆だ。驚いたか?」
「驚いたよ。だって、万年筆なんて使わないんだろう、普段は」
「そうでもないんだ。使ってるんだな、これが。むかし一緒に金ペン堂に行ってもらって買っただろう」
「覚えているよ。ペリカンのM800を買ったっけなぁ」
「そうそう。緑の縞の万年筆」
「あれ、使ってるんだ?」
「しばらく使っていなかったんだけど、一昨年あたりから、また使い始めたんだ。お前の影響だよ」
「そうかぁ。あれ、たしか、中字だったなぁ」
「ペン先には“F”って入っているけど。手帳にはちょっと太いんだ。葉書を書くには、もうちょっと太いのがほしいんだ」
「プラズマテレビを買う予算というと、上限は20万円くらいってことか?」
「そうだね。20万円を上限にって考えた時、ペリカンの『ビッグトレド』ってあるじゃない。あれ、が急に気になり出してね」
ペリカン『ビッグトレド』。『M900』とも言います。ペリカン万年筆のフラッグシップモデルの1本。ベースになっている万年筆はM800。そのボディーにトレド彫刻が施されているのだ。
ペリカンのトレドといえば、1931年から1937年まで製造されていた『ペリカンT111』にはじまって、1937年から1942年まで製造されていた『ペリカン100Nトレド』という伝説的な2種類のトレドがある。これは、時々オークションに登場するけれど、極めて希少なモデルである。お値段も100万円近くする。この復刻版が数年前に限定販売された。
万年筆愛好家にとって、『ペリカントレド』といえば、『ペリカントレドM700』を思い浮かべるのではないだろうか。1986年に登場した時には限定万年筆として発売されたが、途中から限定ではなくなり、レギュラー商品として、ペリカン万年筆の看板役を担うことになった。M700は、M400と同じサイズで、非常に手になじむ万年筆だ。
6年後の1992年に一回り大きいM800のサイズで登場したのが『ビッグトレド』である。
その後しばらくして(たしか1、2年してからだったと思うが)、銀色のトレドが登場するのだった。これが、『シルバービッグトレド』(M910)と『シルバートレド』(M710)である。この、2本の、銀色のトレドは、2001年に生産が打ち切られてしまい、最近はオークション等でしかお目にかかれなくなった。
『シルバービッグトレド』(M910)は、スイスの時計メーカー「エベル」が発注していたのが最初らしく、日本にはエベル・ファンは多くないかもしれないがフランスには根強いエベル・ファンがおり、フランス国内で『シルバービッグトレド』(M910)をもとめている人が多いということを聞いた。








