仕事着の機能を持つベストとパンツは、アウティング・セーター着こなし術を支える必需品。
ポケットが無い。アウティング・セーターのそんな弱点を補うために僕が活用するのは、ワーキング・クロージングのディテールを注入された様々なベストだ。今回はそんな着こなしアイテムとしてのベストに加え、コーディネート頻度の高いボトムスも合わせて僕のワードローブのいくつかをご披露する。
余程に寒い日ではない限り、僕はアウティング・セーターの上にジャケットやコートを羽織ることはない。編み目が作り出す手の込んだ柄や、温もりを感じさせる風合いは、ふとした時に目線に入ってきて楽しめるものであるし、なにより、布帛を重ねてわざわざ強付かせ、スムースな腕の動きを阻害したくはないからだ。ただ、一つ困るのは、持ち歩く小物のしまい場所。なにしろ、セーターってものにはまず、ポケットというものが付いていないのだから。
そこで、バッグはどうだ、ということになる。アウティング・セーターを着るシチュエーションは僕にとってアクティブに過ごしたい時である。もしバッグを持つ必要があるとしても、なるべく両手は空けておきたいと考えるので、ショルダーバッグや手提げのものはまず使わない。リュックサックのように背負って使えるものがファーストチョイスとなる。しかしこれとて、歩きながら入れたものを取り出すのに簡便とはいえないのだ。やはりポケットの役割を果たしてくれる何かが必要になってくる。
僕はその答えを仕事着として作られたユーティリティの高いベストに見いだしている。ベスト、いわゆるチョッキというやつだ。チョッキというからには袖が無い。腕の動きを妨げることは当然考えられない。またセーターを覆い隠す訳ではないので、柄や色を纏う楽しさも享受できる。セーターとベストの色合わせやコントラストを計る面白さが加わるのも嬉しい所だ。
さらに、仕事着、農耕や牧畜、あるいはカーペンターやペインター、ハンティングにフィッシング、ミリタリー・スペックのものまで含めたワーキング・クロージングとしてのベストには、用途に合わせ工夫を凝らした使い勝手のいいポケットが付いている。この機能性がアウティング・セーターの弱点をフォローしてくれる訳だ。例えば、バッファロー・プレイドと呼ばれる独特の大柄チェックを用いたウール地のベスト(写真上)。「マッキノウ・ウール・ベスト」と呼ばれるこいつは、1897年設立、ワシントン州はシアトルに本拠を置くアウトドア・クロージング・メーカー「FILSON」の製品。同社のシンボルである「マッキノウ・クルーザー(Mackinaw Cruiser)」というフィールド・コートで考案された前身頃のデザインを踏襲したベストだ。 3つにセパレートされたペンシル・ポケットやハンド・ウォーマー等4つのポケットが併設されていて、この配置が、日常持ち歩く小物をセットしておくのに非常に重宝なのである。
僕はこの手のベストを、ワードローブに何着か備えてお
いて、アウティング・セーターとの組み合わせを楽しんでいる。そのいくつかをご紹介しておこう。まずは、コンバット・セーターの稿でもご登場願った「L.L.Been」社のオイルド・クロスのフィールド・ベスト(写真右上)。降水確率が気になる日に出番が多いこいつは、マウンテン・パーカの袖を取っ払ったスタイル。縦ジップの胸ポケットは収納容積がたっぷり。フラップ付きのポケットは雨に降られても安心で心強い。お次は、7,8年前から愛用しているフィッシング・ベストのディテールを取り入れたコットン・ツイルのベスト(写真右下)。中綿が薄めに共地で挟み込まれていて、裏側はキルティングになっている。ウエスト・ポーチを貼付けたような大容量のジップ・ポケットは、コンパクト・デジカメや双眼鏡のキャリングにうってつけだ。こいつは日本の某セレクト・ショップのオリジナルである。





