ハンド・フレーム・ニットを探せ
シンプルなアウティング・セーターを探すのなら、ハンド・フレーム・ニットに照準を合わせるのが僕の流儀だ。
アウティング・セーター探索をかけるおりには、いくつかの決め所というものを僕なりに持っている。その中のひとつが、「ハンド・フレーム・ニット」だ。ハンド・ニット、いわゆる手編みのことではないのでご留意あれ。ハンド・フレーム・ニットとは、極めてアナログな機構を持った木製の手機平編機で編まれたメリヤス・パターン・ニットの総称なのだ。
ニッティング・フレーム(Knitting Frame)あるいはストッキング・フレーム(Stocking Frame)と呼ばれるこの機械を発明したのは英国人ウィリアム・リー。1589年というからかれこれ400年あまりも前のことになる。手編み職人の動きを模倣することができるそのメカニズムはいたってシンプル。まずはフレームの上部に並列に配置されたひげ針(Beard Needle)が糸を引っ掛けてループの列を作る。次にスプリング仕掛けのペダルを足で操作しながらループを連結。そしてこれを繰り返していくという訳だ。
元々はストッキングを編むことが目的だったので針の数は20本だったが、やがてその数は100本に、そして600本へと増えていき、セーターなども編めるように改良された。しかしその作業方法は基本的に変わらない。フレームには座椅子があって、編み手はこれに腰掛け、「ゴットン、ガタン、ジー。ゴットン、ガタン、ジー。」と、アルファ波が沸き出してきそうな心地よい音を奏でながら作業するのだ。現代のニット産業に用いられる精巧な機械は、リーさんが編み物ばかりに夢中になって自分をかまってくれないガールフレンドに復讐するため作った、という伝承を持つこの編み機のシンプルなデバイスから成長したもの。ニッッティング・マシーンの父と呼ばれる所以なのである。
さて、このハンド・フレーム・ニッティング技術を前面に押し出した魅力的な製品の開発で注目を集めているのが、ガーンジー・セーターの稿でもご紹介した「ハイランド2000」社だ。同社は英国で採取された純国産の羊毛だけを使用し、その製法ばかりではなく、素材においても英国の伝統にこだわった良質なニット製品を世に送りだしている。タグにはその姿勢を示す「Grown in the United Kingdom」という言葉が印字されている。日本でもオーセンティックな英国ものを求める声が高まる中、「ハイランド2000」社の人気も上昇中。ためしに検索をかけてみよう。つば付きのニットキャップやマフラー、クルーネックセーターなどを扱うECサイトがずらりと表示されることだろう。






