機械式ヴィンテージの上手な買い方
時間と手間をかけて作られていた60年代までのヴィンテージ時計。その選び方に正解はありません。有名ブランドのプレミアム・モデルや特定の機械式キャリバーを求めるのも有りですが、自分の感性で気に入ったデザインのものを選んでも良いのです。しかし、いずれの場合も保存状態、すなわちコンディションは重要なポイントです。

専門店であれば、その道の目利きが買い付けたコンディションの良い逸品ばかりですから、安心して購入することができます。とはいえ、長く大事に使い続けることを考えたら、ある程度は自分の目で品質を見極めた上で、納得して手に入れたいものです。
気に入った一本を見つけたら、手にとってゆっくり眺めてみましょう。持つときは上下のストラップを両手で持ち、本体は手の油が付くのであまり触らない方が良いです。

まずは文字板。腐食や汚れは劣化ですが、色あせは味わいです。
柔らかいクリーム色に焼けているのは、何十年も時を刻んできた証しです。シミがひどかったり汚れやサビが多い場合は、元のオーナーの扱いが悪かった可能性もあるので、中身のムーブメントの劣化も推して図るべしといえます。たとえ珍しいモデルだったとしても避けた方が無難です。
一方、ケースや針の年季の入り具合と比べて余りにもきれいな文字板であれば、修復(リダン)されているかもしれません。このような場合はスタッフに遠慮なく聞いてみると良いでしょう。腕のいい職人が再生したものは品質も良いので、選択肢のひとつではあります。オリジナル云々よりも、全体のバランスが大切です。
針も同様です。文字盤のサイズ、インデックスの配置と、針の長さや太さのバランスを見ます。蛍光の針の場合は、何十年も経つと夜光塗料がおちてしまうので、塗布しなおす必要があります。はみ出しや塗りムラがないかよくよく目を近づけてみて見ましょう。

ケースは、エッジを見てコンディションを知ることができます。
さすがに細かいキズはあるものです。使用感の少ないものは掘り出し物です。ところが、キズは研磨して消すことができるので、念のため本体ケースの面やすき間、ストラップの根元のラグを見てみると良いでしょう。面がゆがんでいたり角が丸まっていた場合は、過去に大きなキズがあったのかもしれません。また、強引にこじ開けようとした痕は過去に素人や未熟な職人がいじった可能性もあります。
風防ガラスを固定しているベゼルとサイドの面、裏蓋の3つのパーツがすき間なくぴったりと組み合わされているか、ラグの縁が丸まらずに角が立っているかが目安となります。
デザインも気に入りコンディションも申し分なければ、腕に着けてみます。現行モデルと比べると、どの時計も一回り小さく控え目に感じるはずです。実際に腕に巻いてみれば、自分の求めているスタイルなのか、使う時のイメージもわいてきます。








