オリジナルの機械式クロノグラフを組み立てる
これまで幾度となく機械式クロノグラフの名品を紹介してきましたが、今回、満を持して自らクロノグラフを組み立ててみました。腕時計の組み立てというと唐突かもしれませんが、過去のコラムでも時々紹介していますので参照していただけたらと思います。

クロノグラフといえば、意匠を凝らしたブライトリング以外にも、IWCのような必要最低限な要素と視認性に特化したドイツ系のパイロットクロノグラフが人気です。今回は、そのシンプルなクロノグラフをイメージして作ってみることにしました。
今でもスイスの時計ブランドの多くは、一部の高級モデルは別としてもムーブメントやケース、文字盤、針、ガラスを専門メーカーから仕入れて自社工場で組み立てています。機械式ムーブメント最大手ETA社の規格に合うケースや針、文字盤であれば、海外のパーツショップやオークションで一流ブランドに匹敵する高品質なものを見つけることができるのです。

ムーブメントは、ETA社の自動巻きクロノグラフ・キャリバー7750。ブライトリングやIWC、オメガにも採用され精度の安定性や耐久性に定評があります。分解、組み立ても容易で、壊れた部品の交換も簡単に行える優れたムーブメントです。
まずは、ムーブメントに文字盤と取り付けます。地板の左右にある小さな爪で、文字盤が外れないように固定します。続いて、組み立てで一番難しいと言われる針付けです。クロノグラフは針が多いだけでなく、秒・分・時の計測用の3本の針を取り付ける歯車には軽くブレーキが効いているだけなので、針を入れる力の加減でゼロの位置からずれてしまいます。ストップウォッチがキレイにゼロリセットされないのは、時計の精度が悪いのと同様あってはならないことなのです。
これには、思い切ってハンマーでカンっと一発で針を入れてしまうのがコツです。もちろん、時針、分針とのすき間にも気を使います。時針と分針は、カレンダーディスクが切り替わるポイントまでリューズを回して、そこを午前0時として針を押し込みます。最後に取り付けるのが中央の細い秒計測用の針、クロノグラフ針です。
針付けをクリアすれば、ケースに収めるわけですが、事前にゴミや見えにくい指紋や油分を徹底的に排除しておきます。ブロアと呼ぶチリ吹きでゴミを飛ばし、練消しゴムのようなロディコで油分や小さなホコリを丹念に取り除きます。特に文字盤は腕時計の顔なので、しっかりと行います。ベンジンでケースを磨いても良いですが、印刷を溶かすので文字盤には厳禁です。
ケースを文字盤側の上からかぶせて下からそっと手を添えて裏返します。リングかクランプでムーブメントの収まる位置を仮留めしておいてリューズを差し入れます。文字盤の12時と6時がきれいに縦になるように、リューズが3時位置に垂直になるよう微調整して、ケース内にしっかりと固定します。こうした細かい作業が出来上がりの結果を左右するのです。








