【嗜むための十三本目 スペイサイド編 ロングモーン】
スペイサイドの隠れた銘酒。特に15年物はウイスキー通には大変評判がいい。知名度はまだまだだが、これからが楽しみな一本である。
ロングモーンはブレンダーの間では高い評価を得ている。マッカランやグレンリベットと対等に並んでも決して引けを取らない。
むしろそれらに負けないくらいの意気込みを感じる。
が、いかんせん一般的にはあまり知られていない。少し不憫な恵まれないウイスキーである。
かるーいピート香とバニラやレーズン、リンゴや洋なしの華やかな香りも持ち合わせている。味はフルーティでスパイシー、奥行きのある香りがある。この香りが食欲をそそるせいか、食前酒としてのウイスキーとして評判がいい。ウイスキー通好みの一本と言えるだろう。
ロングモーン蒸留所はウイスキー街道の起点の街、エルギンとローゼスを結ぶA941号線を、5キロほど南下したところにある。

ロングモーンとはゲール語で“Place of theholy man”「聖人の地」という意味だそうだ。この地にはもともと修道院のチャペルがあったといわれ、その後17世紀にはその跡に粉引き工場が建てられて後に現在の蒸留所が建てられた。
この土地を手に入れたのは、グレンロッシー蒸留所の創業者であったジョン・ダフが1893年のことである。彼は翌年1894年にロングモーンとベンリアックの2つの蒸留所を作り上げた。
(ベンリアックは1898年の操業開始)。1880年代から1890年代にかけてハイランド地方でウイスキーブームが起こっていたこともあって、数多くの蒸留所がこのころ建てられている。
ジョン・ダフが作り上げた2つの蒸留所も時代的背景にはそうした好景気も影響しているのだろう。単にそれだけではなく周りにある、ふんだんにピートや、エルギン周辺の一帯は大麦の一大生産地として有名であったこともあり、ウイスキー造りを盛んにしたのだろう。
しかし残念ながら、1899年には蒸留所はジョームズ・R・グラント(ウイスキー業界にはなぜかこのグラント姓が多い)の手に渡り、彼の2人の息子はのちにグレンファークラスやグレンフィディックのグラント家と区別するために、「ロングモーンのグラント兄弟」と呼ばれた。
その後1970年代までグラント一族が経営をしていたが、1972年、グレングラント、グレンリヴェットとの合併することによって、1977年にはカナダのシーグラム社の傘下となった。ことことによって、クィーンアン、サムシングスペシャルなどの原酒にもなっているのである。




