酒・食・名店

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2007/12/10

名店探訪/秋田・江戸中

 この店が建っている川反通りは、かつて料亭が軒を並べ、家で飲んだあとに、また座敷で飲むような場所だったそうです。芸者を置くのは川反通りの店だけで、「キシャツー」と呼び親しまれていた汽車通りには、一杯飲み屋が集まっていました。

●焼き干しと昆布のだしの味を守る
現在、木造の料亭は数えるほどで、通りの中心にはバーやクラブが入った立派なビルが建ち並んでいます。その一角、わずかに鍵状に曲がった道の角に、木造2階建ての「江戸中」がたたずんでいます。1931年創業で昭和初期の風情が漂う店内は、床板がぎしぎし音が鳴るほど風情があり、朱色に塗られたカウンターも傷があったり色が薄くなっていました。
 店名の由来は、創業した長崎忠治さんの「忠」の字から来ているらしく、明治生まれの忠治さんは、若かったころに勤めていた会社の上司とケンカになり、「上司の頭をペンチでなぐって退社」したと噂されるほど。店を始めたのは22歳ぐらいだったので、明治生まれの頑固気質に加えて、“若気のいたり”もあったのでしょう。夫妻で店を切り盛りしていましたが、1972年4月に忠治さんは死去(享年64)。

●父親の跡を継ぐために帰郷
 そして長男の肇さんが店を継ぐために秋田に戻ってきたのは32歳のとき、父親が亡くなった半年後でした。
「おでんの味はおふくろに習いました。10年ぐらいいっしょにやって、やっとひとりでできるようになりましたね」
 初めのころは、おでんの汁がなくなった夢を見たというほど、苦労を重ねたようです。2002年春から、長男の功紀さんが店を継ぐために戻ってきましたが、3代目も同じような夢を見ているのでしょうか?
 だしに使うのは、日高昆布と焼き干し。焼き干しを使うと「カリッとした」だしが引けるそうです。残ったたれ(おでんのスープのこと)を漉して、そこに新しく用意しただしを継ぎ足していきます。味付けは塩のみで、タマネギを10個以上加えて甘さを出しているそうです。
「おそらく死ぬまで、たれの調整をしているんでしょうね。若いころはこの味を変えようと思ったこともありますが、変える必要もないことに気づきました」







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