西日本のご当地おでん
大阪では、おでんのことを「関東煮(かんとうだき、かんとだき)」と呼んでいます。関西では「煮る」という調理用語はあまり使わずに、ほとんど「炊く」と言っています。本来ならば「関東炊き」になるはずですが、あくまでも「関東の真っ黒い煮物」として、区別していたのかもしれません。
●食い倒れの町でおでんが進化!?東京の鰹だしおでんが関西に伝わり、新たに昆布だしが加えられました。鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸は相乗効果でさらにおいしくなります。味に深みを増した「関東煮」が関東大震災後に東京に逆戻りし、大正時代は“関東煮の時代”と呼べるほど普及しました。関東煮の老舗で知られる東京の「お多幸」は、神戸出身の大田幸さんが震災の2年後に創業しています。
また、大阪の「関東煮」に欠かせなかったのが、クジラのコロ(鯨の本皮を加熱し、脂分を取ったあとで乾燥させたもの)でした。クジラが貴重品になった現在は、さえずり(舌)とともに、高級おでん種のひとつになっています。もうひとつ、西日本で欠かせないおでん種に、牛すじがあります。コロや牛すじのコクが大阪おでんの特徴ですが、コロが手に入らなくなり、何かコクを加えたいという思いから、鶏肉や手羽先などを加えるようになったようです。
●おでんに何を付けますか?
おでんにはからしが定番と思っている人が多いようですが、日本各地には、さまざまな付けだれが存在しています。なかでも味噌だれのバリエーションが豊富です。北海道や青森ではしょうが味噌を付けていますが、香川や徳島ではからし味噌が親しまれています。香川では米味噌をベース、愛媛では麦味噌をベース(みがらし味噌と呼ぶ)にしています。地域や店によって使われる味噌が違い、からしのほかに酢が加えられていることもありました。
また、兵庫県の播磨平野全体に、しょうが醤油のおでんがあります。普通に味つけされたおでんを皿に取って、その上にしょうが醤油をかけるのです。この食べ方は姫路市が中心地で、戦後のヤミ市のころに始まったようです。姫路市から離れるにつれて、上からかけるのではなく、しょうが醤油を付ける食べ方に変わっていきます。
九州では柚子こしょう(柚子の皮をすりおろし、青唐辛子と塩を混ぜたもの)を付ける人もいます。ピリッとした風味がおでんに合うのか、少しずつ全国に広まっているようです。からしの次に人気の付けだれかもしれません。




