不老ふ死温泉で落陽をみながら1杯
生まれも育ちも東京である私は、そんな非日常の気分で露天風呂の湯船につかった。落陽の頃合を見
計らいながら、お酒と銚子と猪口、それにお盆を用意して待った。当日、天候はほぼ快晴といってよかったのだが、雲が少し多いのが気になってはいた。水平線に落ちる瞬間だけでいいから雲よ、邪魔しないでおくれ。お酒を湯船につけて、ぬる燗状態のお酒をグビグビ飲りながら私は祈った。が、いよいよその瞬間、かたまった雲は身動きひとつせず水平線を遮った。あっという間に落陽は雲に隠れて沈んでしまった。
同行のカメラマンは、私以上に悔しがった。そりゃそうだろう、この瞬間だけが欲しくて彼はやってきたようなものだからである。「また来ればいいじゃん。太陽が逃げるわけじゃなし」。私は彼を慰めた。
そう、また来ればいい。旅は想定どおりばかりだったら面白くない。思いも寄らない事があるから、発見があるから、きっと旅の本来の楽しさがあるに違いない。
その晩、2人はお酒を飲んだ。旅館の料理は家庭料理の延長で可もなく不可もない味で不満があったわけじゃない。うれしかったのはお酒が安かった事だ。秋田県の太平山純米吟醸が4合ビン1本で2500円である。旅館で提供される価格としては格安といっていい。結局、私たちは3本を空にして床についた。
翌朝、再び五能線に乗って青森県の海岸線をひた走る。鯵ヶ沢にある「安東水軍」の蔵に向かった。
計らいながら、お酒と銚子と猪口、それにお盆を用意して待った。当日、天候はほぼ快晴といってよかったのだが、雲が少し多いのが気になってはいた。水平線に落ちる瞬間だけでいいから雲よ、邪魔しないでおくれ。お酒を湯船につけて、ぬる燗状態のお酒をグビグビ飲りながら私は祈った。が、いよいよその瞬間、かたまった雲は身動きひとつせず水平線を遮った。あっという間に落陽は雲に隠れて沈んでしまった。 同行のカメラマンは、私以上に悔しがった。そりゃそうだろう、この瞬間だけが欲しくて彼はやってきたようなものだからである。「また来ればいいじゃん。太陽が逃げるわけじゃなし」。私は彼を慰めた。
そう、また来ればいい。旅は想定どおりばかりだったら面白くない。思いも寄らない事があるから、発見があるから、きっと旅の本来の楽しさがあるに違いない。
その晩、2人はお酒を飲んだ。旅館の料理は家庭料理の延長で可もなく不可もない味で不満があったわけじゃない。うれしかったのはお酒が安かった事だ。秋田県の太平山純米吟醸が4合ビン1本で2500円である。旅館で提供される価格としては格安といっていい。結局、私たちは3本を空にして床についた。
翌朝、再び五能線に乗って青森県の海岸線をひた走る。鯵ヶ沢にある「安東水軍」の蔵に向かった。







