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2007/04/06

一麹 二酛(もと) 三醪(もろみ)って何?

蔵に行くと「一麹、二酛(もと)、三醪(もろみ)」と杜氏達が口を揃えるように言うが、麹は麹米づくりをいい、酛は酒母を指し、醪は仕込みの発酵管理状態をいっている。

その中で酒造り難しさを表して、特に麹米づくりがいかに大切かを諭しているのである。
蔵によっては、うちは「一蒸、二蒸、三醪」というところもある。蒸米がうまくいけば、麹米、酒母は自然とうまくいってくれる、というわけだ。

いずれにしろ、「何事も始めが肝心」という事なのだと思う。酒造りに限らず、どの業種、業界の人間にもいえるわけで、我々は肝に命じておかなければならない。

いくつもの小さな蔵を回っていて気づくのだが、麹米づくりに対する考えが大分変わってきた。
以前は麹室(むろ)に入ると、ハクヨーの製麹器や屋根が三角形になった麹米器があったものだが、最近はとんと見かけなくなってきた。
もとより大量の麹米が必要というわけではないし、少量づつ小さな麹蓋(ふた)を使って、少し手間がかかるけど正確にいい麹米がつくれるし、やっぱり手作りに徹していこう、と麹米づくりに改良を加え出している。
中には老朽化した麹室を取っ払い、新しい機材を使って全面改装した麹室を作っている蔵もチラホラ見かける。

将来、仮に造る量を増やしていったとしても、もうこの部分だけは機械に頼る事はしない、蔵元や杜氏の強い意識の表れのようにも思える。

もう20年以上も前の30代の頃、体験だけはしておこうと麹室に入って麹米造りの手伝いをした事がある。
3日間連続してやる約束だったが、私は1日で根を上げてしまった。

当然、季節は極寒の冬である。麹室に入る直前にTシャツ1枚になって作業に取りかかる。
それでも室内は38℃である。汗は自然と滲んでくる。15分、20分の作業で麹米を切り返したり、盛ったりする。
終わるとまた外に出て、すぐに身体が冷えるからジャンパーを羽織る。しばらくしてまたTシャツ1枚になって麹室に入っていく。この繰り返しを1日5回、6回とやらなければならない。

体験してみるとわかるが外気と麹室内の温度差に自分の身体がすぐに対応出来ないのだ。
杜氏や麹職人は「慣れだ」というが、私は身体がついていかず1日で寝込んでしまった。

愛飲家は手造りを礼賛してくれるけど、造る側は他人には解り難いところでそれなりの苦労を負っているのである。それが頭でなく身体で理解したという点で、いい経験をさせてもらった、という事なのかも知れない。

美味いと思うお酒があったら、1升5千円や8千円、ちっとも高いと思わないのはそのせいがあるかも知れない。





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