酒の旅人 街道筋の蔵 奥州路・石巻街道 その6
「桜顔」の主力となるお酒をかせてもらった。お勧めは特別純米大地の一献1.8、2,300円。ぎんおとめを使用、精米55%ものだが、米の味がしっかりのって、香りもほのかにあっていい。つまみは多少濃いめ、風味の強いものでもこのお酒なら心地よく食べられそうだ。盛岡の馬刺しが食べたくなる。杜氏は猪川栄四郎さん(60歳)、南部杜氏で、5〜6名の蔵人で酒造りが行なわれている。
盛岡にはもう1つ、注目の「あさ開」がある。近いから送ります、と工藤さんの車で「あさ開」の蔵まで送ってもらった。市街地の南東方向の大慈寺の近くに蔵はある。
応対してもらったのは藤尾正彦さん。常務であり杜氏も兼務する会社のナンバー2である。それに菅原敏彦さん(経営企画チームマネージャー)が同席した。昭和63年に新仕込蔵と貯酒庫の昭和旭蔵、平成3年に新製品工場と本社事務所、さらに平成11年に地酒物産館・ブルワリー・レストランをオープン。ここ10年ほどの間に矢継ぎ早に新しい建物を完成、充実した設備、環境が整った。とくに地酒物産館・レストランは観光バスも入ってきて、大きな収益を生んでいるのが強味である。売場を細かく見ると、例えば酒の肴でも美味しそうな珍味が並んでいて、つい手が出てしまう。商品構成が実に秀れているのがいい。荷物になると思いつつも晩酌の肴を買い込んでしまった。酒造りは10月中旬からスタート。蔵人は9名、南部の紫波町からやってくる。3月いっぱいまで仕込みは続き、甑倒しとなり、4月下旬皆造を迎える。
「蔵は最新鋭の設備もありますが、基本的には手づくりです。手の必要な部分は機械にまかせてはいません。現在、蔵には杜氏資格者が4名いるというのも心強いです」
藤尾杜氏は当然、全体の指揮をとる。やはり紫波町の出身で、父親も叔父も杜氏だったという一家に生まれている。40歳で杜氏となり、51歳で常務に就任した。61歳の時、現代の名工、64歳で黄綬褒章をもらうといういわばエリート杜氏である。




