酒の旅人 街道筋の蔵 奥州路・石巻街道 その5
街の真ん中に北上川と中津川が流れ、それに南の雫石川が合流、舟運は南部の米を下流の石巻に運び、千石船で江戸に向かった。その2つの川の橋を渡り、さらに東に向かった川目町に「桜顔」(桜顔酒造)の蔵がある。以前は岩手県内の10蔵が合併し協業組合の組織だったが、現在はみちのくコカ・コーラグループに所属。「桜顔」の酒銘はそのまま残っている。
迎えてくれたのは管理部長の工藤明さん。酒造の管理から表の顔となる広報までを一手に担当する蔵の責任者だ。出荷は5000石ほどになるが、実際の自醸酒は2500石ほどである。盛岡・花巻・北上・宮古・久慈方面で販売され首都圏の酒販店ではほとんど見かける事はない。
蔵は3t仕込みが中心で、吟醸系は750kgで仕込む。原料米は五百万石・山田錦・美山錦を山形県から、吟ぎんが・ぎんおとめは県内の紫波町から調達する。今年は吟ぎんがで全国新酒鑑評会の金賞を受賞した、とうれしそうに話してくれた。
この蔵の圧巻は、自ら「パストクーラー」と呼ぶビン火入れ後の冷やし方である。屋外に簡素な屋根をつくり、各所にホースをはわせて上から地下水のシャワーを浴びせる。厳寒の中で行なうためビンが冷たくなるのも早い。
「いろいろ実験したけど、このやり方が一番いい具合にビンが冷えていきます。火入れはビン火入れが本来の風味を保てるので続けています」(この稿続く)






