酒の旅人 街道筋の蔵 奥州路・石巻街道 その3
仙台駅近くに宿をとり、翌朝、次の訪問蔵の松山町にある「一ノ蔵」へ向かった。
仙台駅から新幹線で古川駅で乗り換え、陸羽東線でこごた小牛田駅まで出て、もうひと駅先の松山町駅に向かう路線をとった。ところが、この取材当日は岩手・宮城内陸地震の直後だった。ローカル線のダイヤは大きく乱れ、遅れ遅れながら小牛田駅に到着。「一ノ蔵」の社員の方が車で迎えに来てくれた。仙台駅からは東北本線で松山町駅へ向かった方がどうやら便利らしい。松山町駅から車で10分ほどで蔵に到着する。
一ノ蔵は浅見・鈴木・桜井・松本家の4蔵の合併で、昭和48年設立された蔵だ。それから数えるとまだ35年しか経ていない。日本酒の需要が右肩下がりにいよいよ下降していく頃にスタートしている。なのに一ノ蔵は右肩上がりで伸びていき、現在2万石ほどの規模にある。ギョーカイ的にみると、この蔵は異色といっていい。創業者4役員のチームワーク、揺るぎない経営理念が今日の一ノ蔵を形成した、とみていいだろう。蔵に到着すると、桜井武寛会長(64歳)が迎えてくれた。仙台市で生まれ、慶大卒後、東京で1年間勤めて家に戻ってくる。23歳で桜井酒造に入り、27歳から一ノ蔵設立に向けて参画する。いわば一ノ蔵ひと筋に生きた人だ。平成14年から5代目を継ぎ、2期8年つとめ、2年前に6代目・松本善文会長(41歳)にバトンタッチした。
蔵の敷地は、ひと山分を整地して建てられていて4万坪強とどデカい。ここを本社蔵として、栗原市にもう1つ「金龍蔵」がある。本社蔵から北へ車で1時間ほどのところだ。昔ながらの造り酒屋になっていて、純米大吟醸などの高精白ものが中心という。今回の地震では震源地に近かったものの幸い大きな被害に遭わなかったそうだ。




