お酒の流通・昨日・今日・明日 <その2>
お酒の流通はこの30年〜40年間で激変していく事になる。酒業界に限った事態ではないが小売業の台頭によって、マーケットの主導は問屋でもなければメーカーでもない、小売業自体が握っていく事になる。当然、資本はそこに蓄積されてゆき、当時のダイエー、イトーヨーカ堂、大手百貨店、コンビニエンスストア、最近ではユニクロなど、大資本による小売業の誕生は、もう皆さんご存知のとおりである。
酒業界に限っていえば、もちろんこうした大資本小売業の影響も大きく受けるのだが、もう1つ、酒類専門のディスカウントストアの台頭によってお酒の流通は大きく変化していくキッカケになっていった。主導権を失った酒類問屋は弱体化を余儀なくされ、流通の再編化の波にのみ込まれ、また転廃業していく酒類問屋も後を立たない状況になっていった。明治、大正、昭和そして平成と生き抜いた老舗の酒類問屋は、今、振り返ってみても数えるほどしか生き残っていない。

お酒の流通でもう1つ特記できるのは、蔵元と酒販店による「蔵元直送直取引」である。完全な「中抜き」が商習慣化されていて、これも酒類問屋の弱体化に拍車をかけたといっていいだろう。発端は、古く遡れば国鉄(現JR)の“ディスカバー・ジャパン”の一大キャンペーンにまで行き着く。もうかれこれ30数年前になるが、マスコミもこれにのって「地方の時代」がさけばれるようになった。地方の見直しが盛んになり、その一環の中で地方の蔵元、地方の酒文化に関心が集まった。




