酒・食・名店

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2008/02/09

酒の旅人<3>

 翌朝はよく眠れたこともあって体調もまあまあだ。だが宿の窓から眺める景色は薄日は射しているものの寒そうだ。庭の小枝に引っかかった雪が凍っている。思い切り窓を開けると足下から外気がいっきに入って、またたく間に部屋の空気は一変してしまった。ひとっ風呂浴びて次の目的地に出掛けなければならない。

 今日は山形に出て、山寺を巡り、夕方、酒蔵の「秀鳳」に出向く予定だ。宿を出る時、駅まで車を呼びましょうか、とうながされたが首を振った。車代が惜しいわけじゃない。歩かなければわからないその街の空気みたいなものがある。きっとだから散歩は楽しいのだと思う。赤湯の街は温泉地があるのに寂れている。いくらシーズンオフとはいえ、もっと活気があっていい。なぜこうなってしまったのだろう。全国至る所でみられる地方の衰退は目に余る。
 山寺へは山形駅から仙山線に乗り換えて4つめほどの駅になる。駅を降りて目の前の山を見上げると峨々とした姿が飛び込んでくる。「佳景寂寞」(かけいじゃくまく)という言葉をご存知か。素晴らしい眺めなのにどこか寂しい風景、とでもいうのだろうか。冬は水墨画の世界になる。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と芭蕉はここで名句を刻んでいる。日本人は古くからこうした風景を好んできたのかも知れない。
 山寺は霊山信仰する庶民の呼称であって、正式には宝珠山阿所川院立石寺という。宝珠山は標高550m。その麓の道場根本中堂から頂上の奥の院まで、山腹に点在する支院、諸堂が25ヵ所ある。貞観2年(860年)、天台宗第三襖の円仁(慈覚大師)が清和天皇の勅命を受けて建立した。





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