大宮郊外の蕎麦屋で店主おすすめの日本酒に酔いしれ、福井産の九一蕎麦を味わう
郊外の住宅街にある一軒家の蕎麦屋さんだ。静かで清潔感あふれる空間。「蕎麦屋で酒を飲む」楽しさを味わう、それもゆっくりと静かに飲みたいのなら、こういう店に限る。
自宅開業の蕎麦屋さん、とばかり思っていた。県道から少し脇に逸れた住宅街の一角。外壁がクリーム色の民家は周囲の風景にさりげなく溶け込んでいる。
鉄道の枕木で造られたアプローチ、暖簾がかかった玄関には仰々しさがなく、一見すると自宅開業のような佇まい。だが、2003年オープンのときに店舗として建てたという。
1階には木のテーブルが3卓。壁には書や写真などが飾られて、シンプルでどことなくゆったりとした造りだ。何よりも清潔感があふれた雰囲気が好ましい。
こういう店に入ったら、昼間といえども酒を飲まなくてはいられまい。
日本酒のメニューは数こそ少ないものの充実している。定番の「田酒」「鯉川」のほか、季節ごとに銘柄が変わるそうな。目下の店主おすすめは「鯉川 亀治好日 純吟」。しっかりとした酒、お燗にも合う酒が多い。
つまみは店主おすすめの「鴨の葛煮」(写真)。運ばれてきた瞬間に鴨肉や野菜が葛入りの汁で煮込まれた、何ともいえない香ばしい匂いが漂う。
スライスしてサッと炙った鴨肉、つくね、焼き目を入れた長ネギ、椎茸、季節のシメジ、銀杏。レアにした鴨肉が柔らかくて美味しい。これからの季節の人気メニューになりそうだ。
つまみは蕎麦屋の定番が中心だが、コース料理には自家製一夜干し、鴨料理などが出る。秋はサンマのみりん干しなど。
「場を楽しむ。その中に酒と蕎麦がある。そんな店を造ろうと思っています。池波正太郎の世界に憧れています」とご主人の松本英明さん。サラリーマン時代に「室町砂場」に通い、蕎麦屋で飲む楽しさを知ったという。創作陶器の「たち吉」に勤務。38歳で退職した後、熊谷「加那や」で修業した。




