蕎麦前の純米燗酒に酔いしれて、無フルイ、微粉の福井産十割蕎麦の草っぽい風味を味わう
蕎麦の前に、日本酒のラインナップに感心してしまった。「神亀・ひこ孫」「竹鶴」「辧天娘」そして「生もとのどぶ」。純米を燗酒で、には大賛成。蕎麦にも大いなる期待が・・・
外観はコンクリート打ち放しだが、中に入ると温かな雰囲気に包まれる。無垢の木をふんだんに使った店内に子供を連れた客がちらほら。地元客に愛されているのが伝わってくる。木の棚に日本酒の瓶が並んでいた。銘柄を見た瞬間にもうノックアウト寸前。「ひこ孫純米3年熟成」「小笹屋竹鶴・純米原酒」「辧天娘」、そして「生酛のどぶ」があるではないか。
「どぶ」を蕎麦屋で見たのははじめてだ。
『男の隠れ家』本誌の2006年3月号で取材した酒蔵・久保本家(奈良)の酒である。40代の加藤克則杜氏が昔ながらの生酛造りをしている。
「蕎麦屋の酒は自己紹介にほかならない。酒のラインナップで主が何を考えているかがわかる」と二代目の齋藤健司さん。
「純米酒は味がどんどん変化していく楽しさがある。料理と合わせたときに時たま起こる奇跡。酒と食べ物の相性によってえも言われぬ甘みが出せたらいい」と燗して飲む純米酒ばかりを揃えている。
加藤杜氏や「竹鶴」の石川達也杜氏なども来店するそうで、杜氏と仲がよい蕎麦屋さんも珍しい。私も蕎麦前には吟醸酒よりも温めた純米酒をゆるゆると飲みたいのだが、実際にはまだ少数派だ。もっと増えてほしいものである。写真は「どぶ」とお通し2種。自家製山葵漬(左)とクリームチーズの味噌粕和え(右)。店主お勧めの肴はお燗によく合う穴子の煮こごりと煮込み。メニューにはない「趣味の酒」もあるらしい。




