酒・食・名店

Column Title : 

  •  PR  
2008/03/02

ワインは“読む”もの!?

「ワインはボルドーに始まりボルドーに終わる」と言われ、それだけ長い歴史と奥深い飲み物である。歴史と密接に絡みついた物語は読むだけでカベルネ・ソーヴィニヨンの香りがプンプン薫ってくる

偉大なワイン。こう聞いてまず思い浮かべるのは、どんなワインだろう。例えば、カリフォルニアのロバート・モンダヴィ。ご存じ、カリフォルニアのプレミアムワインとしての名声を世界に知らしめた名門ワイナリーだが、創立は1966年。それまで、カリフォルニアワインは、安価なかぶ飲みタイプが主流だった。しかし、創立者のロバート・モンダヴィは「ワイン造りは科学であると同時に、芸術である」との信念のもとに、高品質なワイン造りに取り組んだ。この成功は、カリフォルニアワイン全体の名声にも貢献し、その後の快進撃の原動力となった。

さらに同社は、画期的な合弁事業により偉大なワインを生み出した。「オーパス・ワン」というワインである。ボルドーの1級シャトーの中でも後から1級に格上げされた特例として知られるシャトー・ムートン・ロートシルト。その芳醇な味わいとともに、毎年ラベルを著名な画家に描かせるという事でも注目を集めるワインだが、このシャトーとの合弁で生まれたのがオーパス・ワン、音楽用語で「作品番号1」の意味のワインである。

実際には、オーパス・ワンもシャトー・ムートンも値段があまりに高いから、おいそれとは手を出せない。自分にとって偉大なワインとは必ずしもそういった一流ブランドではなく、ごく普通のワインだったりする。思い出に残るのは、シャトー・デュクリュ・ボーカイユ1987年というボルドーの2級格付けワイン。1級ものと比べて価格は半分以下、その分、肩の力を抜いて気軽に味わえるが、1987年のボルドーは軽くて口当たりの良い早飲みワインという評価、「健全なワインが平年並みに産出された年」として記録されている。とりたて旨いと評価されるようなヴィンテージではなく、「ワイン・ヴィンテージ案内(マイケル・ブロードベント著)」によると飲み頃はとうに過ぎている。もっと悪い事に、飲みかけのボトルを数日後に貰って飲むという状態だったから、まったく期待などしていなかったが..、このように、まったく期待しないで飲むワインに“お宝”が隠れている場合がある。

ワインは難しい。期待通りに美味しい事はめったに無い。せっかく奮発したグレートヴィンテージにもかかわらず、香りは完全に閉じてしまっているし、重くて堅いタンニンは、若いワインに対する虐待を蔑むように、飲み手を嘲笑う。「やっぱり。飲むにはまだ早すぎた、なんて勿体ない事を!」と後悔しても開けたワインは元には戻らない。高額な良作柄ワインになればなるほど、飲むタイミングが難しいのである。

世に出回ったばかりの頃に味わったシャトー・ムートン・ロートシルトは、世紀のグットヴィンテージとされる2000年ものであった。普通であれば、引き篭り状態が長く続き、偉大なワインの全容が現れ始めるのは瓶詰から10年を超える歳月を待たないとならない。中途半端に抜栓すればなにもかも失う事になるのだが、不思議な事に、出荷直後のわずかなタイミングにおいて、我々飲み手を導くが如く、ほんの一瞬だけ、孤高のヴェールを脱ぎ偉大なワインの片鱗を見せるという奇跡が起こる。文字通り一瞬の出来事として、それは起こる。謎を知るべくグラスのお代わりをすればするほど、気紛れなプリンセスは遠くに逃げて行ってしまう。その後はいくら待っても、全てを虜にするあの夢のような微笑みはもう二度と見られない。

さて、季節は春。冬ごもりの虫が地中からはい出る3月の啓蟄、重いコートを脱ぎ捨て暖かい春の陽光に衣替えする4月、身も心も軽やかになって、春の食材と合わせるワインの美味しいことといったら。プロヴァンスのロゼ、ウンブリアの白、アルザスのピノ・ワールやピノ・グリと合わせる木の芽の天ぷらやホワイトアスパラなんて、想像するだけで涎が(ジュル)..

しかし現実はそれほど甘くないのだ。春は杉やヒノキの花粉が飛びまわる季節であり、かれこれ20年以上も花粉症に苦しむ私は、この2か月間はワインの繊細な風味が感じられなくなってしまうのだ。鼻詰まりの身では、料理だって美味しくない。当然、オーパスやムートンなんて(味が分からないから)、勿体なくて飲む気にもなりゃしない。

では、花粉症に悩むワインラバーの方々は、これから2か月間、どうすれば満足のいくワインライフを過ごせるか?

それは読書に尽きる。ワインは飲むだけのものではなく、教養として大人が身につけるべき、大切な知識のひとつ。

この際だから、ワインの蘊蓄で理論武装しておくというのはいかがだろう(って無理やりこじ付け)。






この記事のトラックバックURL:

特集

何も足さない究極の「原音」に触れる 「知名御多出横」
会員登録プレゼント

新着こだわりコラム

カーライフ最前線

2008/12/01 カーライフ最… クリスマス…

男のガーデニング

2008/11/30 男のガーデニ… いずれ椿か…

旨い日本酒

2008/11/29 旨い日本酒 酒の旅人・…

70's 大人のロック

2008/11/28 70… ディーバの…

大人の男のためのオペラ入門塾

2008/11/28 大人の男のた… 指揮者につ…