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2008/02/12

冬の筑波山 山岳エクストリームアイロニング

冬。
自然が厳しい表情を見せる今の時期、僕は夏以上に貪欲に山や海に向かう。夏や秋が持つ猥雑さの消えた海や山は、今まさに最高の環境を与えてくれるのだ。

冬の、ある晴れた日、僕と新井アイロニストは筑波山に向かった。
千葉に住む僕の家から筑波山までは、車でおよそ2時間。その日は空気がとても澄んでおり、利根川を渡る橋の上からは、筑波山の雄姿がくっきりと見えた。この時期、ある程度風のある日の早朝であれば、関東平野の様々な場所から筑波山を遠望する事が出来る。遠くに見える山は、そのどれもが美しいものだ。僕らにとっては、やはり富士山がその代表格だが、その日の筑波山は、いつになくとても美しく浮かび上がっていた。

その日は、いつもより手前の山麓に車を停め、そこから筑波山に向かって走り始めた。山頂付近に残雪が残っているのが見えたので、グリップの効くランニングシューズを履き、グレゴリーにアイロンと防寒着、携帯コンロなど、その他もろもろを詰め、いつものようにアイロン台を抱えたスタイルで、僕らは筑波山に向かって走った。






















前方に筑波山を見上げながら、農道を走るのはとても気持ちが良い。旧参道を抜け、いよいよ筑波山のトレイルに入ると、そこには思った以上に残雪があり、道のところどころがぬかるんでいた。なのでルートどりなどで少し苦労したが、この日は本当に登山客が少なく、僕らは気持ちよく山頂まで登る事が出来た。トレイルランニング時、僕はほとんど無心で登る事が多いが、この日は漠然と様々なプライベートな事を考えながら登った。こんな日もあるのだ。

女体山山頂に着くと、そこには誰もいなかった。その代わり、冷たい北風が僕らを迎えてくれた。今日は晴れているが、山頂は思いのほか寒い。まずは、いつものように山頂の神社にお参りし、その後すぐに着替えてアイロニングを始めた。























女体山山頂の岩場にも残雪があり、足元に注意しながら僕はアイロン台を固定し、しばし至福のアイロニングに酔いしれた。山に登った達成感と、しわを伸ばす満足感の不思議なコラボレーション。それにより、高いレベルの達成感と癒しを得る。そこで高揚した自分の気持ちを、今度はアイロン掛けという行為を通して山に納め、それによって自然との一体感をも得る。これが山岳エクストリームアイロニングの基本理念であり、最大の魅力である。何度山に登ってアイロニングをしようが、今までこの感覚が色褪せた事は一度もない。単純に、本当に気持ちのいい瞬間がそこにあるのだ。誰もいない山頂、そして眼下に広がる広大な関東平野。なんて贅沢な場所、そして時間なのだろう。僕は時間を忘れ、そこを通り抜ける風の詩に耳を澄まし、しばし感慨に耽った。





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