痛みのメカニズムについて
連休のアウトドア、慣れない包丁でたまねぎの替わりに、左手にうっかり怪我をしてしまったとします。痛いのはあなたのその左手ではなく、あなたの脳だとしたら?痛みのメカニズムについて考えたことがありますか?
前回、感動しているのは心でなく、脳であり、人の人格を支配するのも脳であると、断言してしまった。心ある文化人からは、だから情緒が欠如した石頭の医師(医師だからいしあたま・・・スイマセン)は無粋で困る、と叱られそうだ。
ここで痛みを感じるメカニズムについて説明しよう。
痛みは左手の怪我をした部分にある「痛覚受容器」から、右の脊髄外側視床路を上行し、視床(ししょう)=別名「意識の扉」を通って、大脳皮質の知覚領に伝わる。大脳の中心溝のすぐ後方に位置する、「中心後回」という部分が知覚を担当する領域なのだが、そこに伝わって初めて、「どこ」が「どれくらい」痛いかを認識する。
もし、「中心後回」がうまく機能していない場合、どんな大怪我をしようが、痛みを認識しない。痛みの伝達がどこかで間違ってしまえば、痛みを感じなかったり、手を切ったのに足と感じてしまうことも、理論上は成り立つ。そこでやや乱暴だが、冒頭の、痛いのは手ではなくて「脳」なのだ、という論理に行きつく。
この中心後回においては、
刺激を受容する場所が決まっている。指一本一本、顔、舌など、さらに細分化されている。人におけるこのいわゆる脳マップを発見し、報告したのは、カナダの脳神経外科医 Wilder Penfield (1891-1976)。脳の中のこびと(ホムンクルス)として、ロンドン自然史博物館に展示されている(図はWikmedia commonsより)。こびとはすこぶるいびつな顔形をしている。手、とりわけ指先はとても敏感だから、とても大きくてさながら吸盤のようだ。くちびるはどでかく、グロテスクで正視に堪えない。
こんなにたくさんの皮質領域に担当されているゆえ、キッスはとても甘美なのですね。。
体性感覚(知覚)にウエイトを置くと、人体はこのように書き換えることができるのだ。
(左が知覚領域・右が運動領域のホムンクルス)
事故や動脈硬化性疾患などで不幸にして手足の切断を余儀なくされる人がいる。そのうち80%はなくしたはずの手(足)の存在を感じ、60%は痛みを感じるという。これが幻肢痛(phantom pain)である。このメカニズムは未だ謎であるが、ひとつの考え方として、脳の中心後回の手からの痛み刺激が、手がなくなってしまうことにより、空白になる。刺激の空白は、脳にとって異常事態である。そこで、近接部位からの信号が誤って手の領域に入ってしまうために、その結果すでに失われたはずの腕に痛みが発生する、と説明される。前述の手と顔、とくに口はとても近接した場所にあり、腕を無くした人では、顔をなでると腕を触られるよう感じる事が、脳のマップの書き換え(再配置)を裏付けている。
この幻肢痛のメカニズムをなんとかわかってもらおうと、スタジオで悪戦苦闘したのですが。5月23日(水)日テレ21時の仰天ニュース、ご覧いただけたでしょうか。脳は不思議にあふれています。すこしでもなぞが解けると、うれしくなって説明しようとするのですが、ますますわからないことばかりです。
ここで痛みを感じるメカニズムについて説明しよう。
痛みは左手の怪我をした部分にある「痛覚受容器」から、右の脊髄外側視床路を上行し、視床(ししょう)=別名「意識の扉」を通って、大脳皮質の知覚領に伝わる。大脳の中心溝のすぐ後方に位置する、「中心後回」という部分が知覚を担当する領域なのだが、そこに伝わって初めて、「どこ」が「どれくらい」痛いかを認識する。
もし、「中心後回」がうまく機能していない場合、どんな大怪我をしようが、痛みを認識しない。痛みの伝達がどこかで間違ってしまえば、痛みを感じなかったり、手を切ったのに足と感じてしまうことも、理論上は成り立つ。そこでやや乱暴だが、冒頭の、痛いのは手ではなくて「脳」なのだ、という論理に行きつく。
この中心後回においては、
刺激を受容する場所が決まっている。指一本一本、顔、舌など、さらに細分化されている。人におけるこのいわゆる脳マップを発見し、報告したのは、カナダの脳神経外科医 Wilder Penfield (1891-1976)。脳の中のこびと(ホムンクルス)として、ロンドン自然史博物館に展示されている(図はWikmedia commonsより)。こびとはすこぶるいびつな顔形をしている。手、とりわけ指先はとても敏感だから、とても大きくてさながら吸盤のようだ。くちびるはどでかく、グロテスクで正視に堪えない。
こんなにたくさんの皮質領域に担当されているゆえ、キッスはとても甘美なのですね。。体性感覚(知覚)にウエイトを置くと、人体はこのように書き換えることができるのだ。
(左が知覚領域・右が運動領域のホムンクルス)
事故や動脈硬化性疾患などで不幸にして手足の切断を余儀なくされる人がいる。そのうち80%はなくしたはずの手(足)の存在を感じ、60%は痛みを感じるという。これが幻肢痛(phantom pain)である。このメカニズムは未だ謎であるが、ひとつの考え方として、脳の中心後回の手からの痛み刺激が、手がなくなってしまうことにより、空白になる。刺激の空白は、脳にとって異常事態である。そこで、近接部位からの信号が誤って手の領域に入ってしまうために、その結果すでに失われたはずの腕に痛みが発生する、と説明される。前述の手と顔、とくに口はとても近接した場所にあり、腕を無くした人では、顔をなでると腕を触られるよう感じる事が、脳のマップの書き換え(再配置)を裏付けている。
この幻肢痛のメカニズムをなんとかわかってもらおうと、スタジオで悪戦苦闘したのですが。5月23日(水)日テレ21時の仰天ニュース、ご覧いただけたでしょうか。脳は不思議にあふれています。すこしでもなぞが解けると、うれしくなって説明しようとするのですが、ますますわからないことばかりです。





