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2007/03/31

香りは人生の記憶を紡ぐ。芳香浴で心と体に心地よさを。

房総出身の私は海のある町で育った。海の匂い、なんて言うとそこに住んでいるときはまったく気にも留めていなかったけれど、東京に長く住み、久しぶりに実家に帰ると、海の匂いを感じる。匂いというものは不思議なもので、一瞬で過去の記憶を鮮明に蘇らせる。蚊取り線香の匂いに幼い夏の日を思い出したり、タンスにゴンでおばあちゃんとの思い出が見えたり、なんていう風に。

私みたいに“いさばやさん”(魚をさばいたり加工したりするまぁ工場みたいなもの)の近所に住んでいると、魚がちょっと腐ったようなそんな匂いに郷愁を覚えたりして。数年前、「海」という名前のお香を見つけて買ってみたことがあるが、私の「海」とは少し違っていたもののそれを連想させるには十分で、海にからまった数々の記憶も蘇らせてくれた。

匂いの記憶ってとても長いそうだ。だからふと幼い頃に嗅いでいた匂いで、忘れていたことも忘れてたような記憶がバァーと溢れたりするんだろう。きっと誰にでもあるだろう、そんな記憶を紡ぐ香り、10年後は、あるいは自分の子どもは、どんな香りに懐かしさを感じることになるんだろう。

ところで芳香浴という言葉をご存知だろうか。たいそうな名前がついているが、まぁ香りを鼻や全身から嗅いでリラックスしましょう、ということだ。例えばマグカップにお湯を入れて、精油を1〜2滴たらすだけでいい。顔を近づけて深呼吸すればアロマの香りで気持ちがやわらぐ。お香を焚いたりアロマキャンドルに火を灯すのだって、芳香浴だ。

私は気持ちをリセットしたい時やゆったりした時間を過ごしたい時などによくアロマオイルを焚く。精油(エッセンシャルオイル)とは自然植物の花や皮、葉などから抽出された芳香成分のことで、当然様々な種類がある。フローラル系やハーブ系、柑橘系、スパイス系、オリエンタル系などに分けられると思うが、香りや心身に対する効果も様々だ。私は気持ちが安定しない疲れたときはオリエンタル系のイランイランなどを、ちょっと乙女な気分になりたいときはフローラル系のローズを、エネルギーチャージをしたいときには柑橘系のオレンジなど、という風に使い分けている。

昨日もお風呂にラベンダーの精油をちょこっとたらして入っていたら、ふと香りに関することを思い出した。昔、デパ地下に行った時のことで、ちょうどお茶の実演販売をしておりお茶っぱのいい香りが辺りに漂っていた。「いい匂〜い」と思っている私の脇で、2人連れの女子高生が「くっせー!なにこの匂い!」と言い放った。たまげたけれど、きっと子どもの頃からお茶を煎れて飲んだりする家庭にいなかったのかもしれない、などと数年たった今、勝手なことを思った。

今後、自分の記憶に残っていく香り、それは日常生活の中でつくられていくもので、自分の人生の歩みそのものでもあると思う。自分の意思うんぬんではなく、私にとっての海や魚の匂いのようにいやがおうでも記憶にこびりつくものだ。そんな中、自分で嗅ぎたい香りを選んでいく、ということは意味を持つのかも、なんて思った。

自分の体と心が欲しがっている香りを心地よく嗅ぎ、緊張や不安を和らげたり、集中力を高めたり、心地よい眠りに誘ってくれたりすることは、ゆくゆく自分の記憶としてまた蓄積されていくんではないだろうか。

…とまぁ、そんな私のつまらぬ考えはさておいても、芳香浴はほんと使えます。いつも持ち歩くハンカチに1滴たらすだけでも気分が変わってくるし、満員電車や会社でイライラしたときにそっと鼻に押し当てるだけで、多少はストレス軽減になると思う。お風呂にたらしたり、枕のタオルに1〜2滴染み込ませてもいい。

お香などは今や路上でも売られているが、精油はやはり専門店の質の高いものがいいと思う。「ニールズヤード」などに行くとたくさんの種類の精油と効果などが書いてあるから面白いだろう。いろいろ嗅いでみて、自分の好きな香りを見つけるのも楽しいかも、と思います。







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