癒しのオーディオスペースへようこそ
今回は、前回に引き続いてオーディオのある心地よいお店を紹介しよう。
隠れ家にスコッチ・ウイスキーは必須アイテムである – かく言う私もスコッチの大ファンなのであるが、ラフロイグ、マッカラン、ボウモアなどをロックで飲みながら、ジャズのレコードで心地よい一刻を過ごせるのが、Beatle(ビートル)である(写真)。
この店、岡山では知る人ぞ知る名店で、1975年に開店して以来、約30年の歴史をもち、三十代の駆け出しの頃からのファンという老教授も通う落ち着いた雰囲気の店である。現在は2代目のオーナーが経営しているが、先代のオーディオとレコードへのこだわりが、今も店に残っており、壁一面を埋めたジャズやロックのレコードの中からその場の雰囲気に合わせた曲をオーナーが選んでさり気なくかけてくれる心配りが、さらに会話を盛り上げてくれる。
大きなカウンターテーブルがグランドピアノを囲むこの店のスタイルは、それだけでも何か音楽的な空気を感じさせるが、そのテーブルの上には、いつも季節に相応しい生花が見事な風合いで花瓶に生けてあり、視覚的にも最高のサウンドスペースを演出しているのである。
この店のオーディオ・システ
ムの特徴は、やはりJBLのスピーカー・システムにある(写真)。ラジアルホーン2350をメインにしたこのシステムは、前のオーナーが設置したもう30年以上前の古いものだが、この視覚的にもインパクトのあるシステムは、未だに生々しいジャズのボーカルを聴かせてくれる。
また、レコードプレーヤーのカートリッジには、以前御紹介したDL-103を最近まで使用していたが、プレーヤーとアンプのシステムにはまだ音のグレードアップの可能性があるように思われる。
私的にはブルーのパネルが美しいマッキントッシュのアンプがこの店にはふさわしいのではないかと密かに思っているのであるが、あまりオーディオを置くスペースが広くはないので、できればプリメインアンプのMA6300を選んでみるのがよいと思っている。
あるいは、やや端正な音になるが、JBLとの組み合わせでよく雑誌等で推奨されている、アキュフェーズのアンプもよいかも知れない。アキュフェーズは日本のメーカーで、トリオ(現ケンウッド)から独立した高級アンプメーカーである。
今回の場合はスピーカーが古いので、現行のモデルよりは、昔のC-200LコントロールアンプとP-300Lパワーアンプの組み合わせなどが、音のイメージとしても、またデザイン的にもうまくスピーカーとマッチするように思う。
さらに、マニアックに300B真空管アンプで鳴らしてみるというのもよいかも知れない。
この場合、アンプのイメージ通り、ホットなジャズの世界を演出してくれるであろう。
次にもう一つ御紹介したいお店は、玉野市にある、癒しのスペース「くらび舎(や)」である。
「蔵が美しい」という意味とドイツ語の「クラヴィア(ピアノ)」をかけたユニークな名前をもつこの店は、倉敷にあった築後200年の重要文化財の蔵を移築・再生して音楽ホールとしたもので、他にギャラリーとカフェを併設した、芸術と文化を楽しむ人のための憩いのサロンである。
ここの音楽ホールには本当に驚かされる。ジャズピアニストの経歴をもつオーナーが選んだ本格的なスタインウェイのコンサート用グランドピアノが置かれた音響豊かなホールには、タンノイのウェストミンスターとスターリングがセットされ、これらを別室のマッキントッシュのアンプでドライブするという贅沢なサウンドスペースが展開されているのである(写真)。
このホールでは、何と当代きっての名ピアニストであるイエルク・デームスのピアノリサイタルが昨年行われた。
その他にも、多くのリサイタルやレコードコンサートが定期的に行われている。
また、この最上の空間では、一般の客がコーヒー片手にレコードを楽しむことができるし、貸しスペースとして発表会等を行うこともできる(いずれも有料)。
さらに、音楽ホールに隣接したカフェ・スペースではコーヒーと手作りデザートを楽しむことができるし、ギャラリー・スペースでは地元の作家などの作品が展示、販売されている。
広い和室のスペースや美しい庭なども備えたこの癒しの音楽サロンは、岡山の音楽ファンやオーディオ・ファンの間ではよく知られた存在であるが、近隣の地域にお住まいの諸兄でまだここを御存知ない方は、ぜひ一度訪問されることをお薦めしたい。
次回は、一般家庭における素敵なサウンドスペース作りの例を御紹介したいと思う。





