オープンリールって何?(3)オープンリールテープを聴いてみよう
今回は、前回ご紹介したテクニクスのオープンデッキの銘機RS-1500Uで、実際にいろいろなオープンリールテープを聴いてみることにした。
オープンリールテープには、テープの大きさ(リールの直径)によっていくつかの種類がある。
一番大きいのは10インチ(10号:約25cm)、そして次が7インチ(7号:約18cm)、そして5インチ(5号:約12cm)というところが一般的に使用するサイズである(写真:10号リール)。10号リールに巻かれているテープの総延長は1,100m(約1キロ)もある。
このテープ長から計算するとわかるが、38cm/秒のテープ走行スピードでは、4トラック往復(裏表)で96分、19cm/秒では192分、そして9.5cm/秒では何と384分(約6時間半)の録音が可能ということになる(写真:箱から取り出した10号リールとデッキに取り付けるためのアダプタ)。
従って、オープンリールテープを用いた録音では、反転録音可能なリバースデッキと10号リールを使えば、タイマー録音で放っておいても、オペラの中で最長に属するワーグナーのオペラがまるごと録音できてしまうということになり、これがオープンリールデッキが、エアチェック(FM放送録音)のマスターデッキと呼ばれる所以である。録音時間の面でこのオープンテープを超えるものはないし、しかもオープンリールテープは、テープ幅が大きく、カセットなどに比べて走行や動作が安定しているので、オープンリールテープおよびデッキは最強のテープそしてデッキと言ってもよいと思う。
年末になると夏のバイロイト音楽祭におけるワーグナーオペラ(楽劇と言わねばならないが)の実況録音がFMで放送されるが、毎年この録音にこだわっている音楽ファンは少なくない。
そして、このようなファンの中にはオープンデッキを今でも使用している方が多くおられるのである。オープンリールテープ自体も今では一般に市場では販売されていないので、オークションなどで一年間頑張ってオープンテープを集めては年末のこの録音に備えるという、華やかなオペラ劇場とは無縁だが、これこそクラシックファンの鏡とでもいうべき努力をして、彼らは毎年の演目の録音と記録を行うのである(写真:録音中の10号テープ)。
最近は深夜の放送なので、リバースデッキならタイマーで録音をセットして寝てしまっても大丈夫だが、さらに録音にこだわるマニアは4トラックでなく片道2トラックの録音を行うので、どこかでテープを交換する必要がある。
どのオペラの第何幕で交換するかを前もって考えて、計画表を作成して用意するとなると相応の時間と努力が必要で、録音当日は他人も寄せ付けない儀式のようなことを何時間と続けることになる。剣豪小説の作家であり、また稀代のオーディオマニアであった五味康祐氏の「オーディオ遍歴」には、この録音をめぐるすさまじい戦い!の様子が描かれている。





