サン=テグジュペリのバラと謎
先週の剪定で、付いていた蕾も含めて枝先をみな詰めてしまった。さすがに今週なって咲いているのは、あえて切らなかったマザーズ・ディだけ。これからの2ヶ月間は、じっくり開花を待つための時間となる。木酢液の散布と消毒、鉢植えのものには施肥と通常の世話をするが、今週はまだ何も動きがない。次の開花を夢見るだけだ。
今年のウチの庭に最後に加わったバラが、サン=テグジュペリ。フランスのデルバール社のバラだ。バラの名前は、いうまでもなく小説家のサン=テグジュペリから名付けられている。デルバール社のバラの名前には、文豪や画家、小説の名前にちなむ物が多い。ざっと見渡しても、プルーストや、マチス、ゴーギャン、ドガ、セザンヌ、ユトリロ、シスレー。フローベールの『ボヴァリー夫人』やスタンダールの『パルムの僧院』。そういった名前を前提にバラを見てみると、小説の主人公のイメージや絵画が浮かび上がってくるから面白い。
今はユーロになってしまったが、その昔は50フランに、たしかサン=テグジュペリの肖像が使われていた。初めて見た時、やはりフランスでも偉大な作家なのだなぁとあらためて思ったという記憶がある。
ただし、サン=テグジュペリという名前のバラは、実は2代目である。初代は、その昔、1961年に同じデルバール社で作出されていて、今は、ワルツ・タイムという名前に替えられている。丸く薄い花弁にフリルがついた薄紫のバラで、サン=テグジュペリの作品の中の『夜間飛行』を思い起こさせる。同じ名前の香水もあったが、このバラにも芳香がある。一方、新しいバラのサン=テグジュペリは、彼の小説『星の王子さま』(内藤濯訳 岩波書店)を意識して名付けられたと思われる。この小説は、第二次世界大戦中の1943年、フランス語ではあるが、アメリカで出版されている。日本で訳出されたのが、1953年。ちなみに手元の岩波少年文庫版は、第28刷で、1968年と40年も前のものだった。今は、フランス語版の著作権が切れたために、一挙に膨大な数の新訳が出ているようだ。
さて、その『星の王子さま』の中に出てくる有名なバラの話だが、いろいろと謎が多い。





