庭も優秀な脇役を必要とする
こうして、返り咲きの花がぽつぽつ咲く中、葉との親密なお付き合いが始まる。一件地味な相手だが、慣れ親しむと愛着がわき、花よりも健康な葉の方が嬉しくなるといったらいい過ぎになるが、葉の方に関心が行っていて、花が咲いたのに気づかなかったなどということはよくある。ウチの奥さんからは異常のよ
うにいわれるが、健全な葉を育てていれるのだから、花は当然の帰納という、きっぱりとした感覚はある。この蚊だらけのつらい一時期に、庭に出て行かなければならない苦痛をやわらげてくれるのが、緑の美しさだ。葉の形と色の微妙な違いから起こる緑のグラデーション。それをバックにするから花は美しいのだ
。今は、その舞台背景を作っていることになる。さらに、主演のバラの間をつないでくれている脇役たちの登場だ。わが家の庭では、柏葉アジサイが、あまり日当たりのよくない一角で、元気に大量の花を咲かせてくれた。これだけ大量に咲くと、独特の甘い香りが漂う。一方で、隅田の花火が、今年は青みがやや強く出て咲いている。木の花では、バイカウ
ツギ。白い清楚な花をつけてくれた。もう一人、地面の近くでは、ラミウムの小さな紫の花が。これもなかなか個性的な役者で、葉の色形だけでもかなり魅せる。今回は、少々気なるニュースがあったので付記しておく。
『カズエ』いう名のバラがあるのだそうだ。米軍の艦載機ファントムが、厚木基地を離陸して、横浜市の住宅地に墜落した事件があった。もう31年前の出来事になったしまったと記事を読んで驚いた。母親と幼い子供二人が犠牲となる。母親は、全身やけどで4年4ヶ月の闘病生活の末に亡くなっている。母親が、子供たちが亡くなったと知らされたのは、事故から1年4ヵ月も後のことだったそうだ。この事故で、日本の平和と安全があらためて問われた。その母親の名前が、土志田和江さん。このバラは、和江さんへの想い、平和への願いを込めて、この悲劇の記憶を風化させないために、夫の土志田勇さんによって命名された。その勇さんも今年1月に亡くなっている。さらに、このバラの育成が困難になっているという。バラは、地元のNPO「のむぎ地域教育文化センター」のバラ園と、作出した千葉県の園芸業者で細々と続けられてきたが、資金難からバラ園の存続が危うくなった。このままでは、その新種のバラも、育てていけなくなくなるかもしれない。「のむぎ地域教育文化センター」では、バラ園の存続のために、一株2千円でカンパを募集している。(東京新聞6月6日付記事を要約)
淡いピンクのハイブリッド・ティー。育てる人がいなくなれば、種は簡単に消えてしまう。バラを育てる人間として、何かできないかと考えている。





