バラの花を待つ間に
蕾が付いた。蕾が付いた。あちこちで蕾を発見し、気分はとてもリッチな状態だ。すごく得をした気分。なんといっても、つるバラがそのスケールの大きさで数を稼いでくれる。房咲きのフロリバンダ、ポリアンサも、ひとつのシュートからたくさんの蕾が出てくるので、これもお得な感じ。だから、ウチの奥さんが好きなわけだ。
そこへいくと、ハイブリッド・ティーは、花数を制限するために出てきた蕾をピンチして切り取ってしまうから話は逆だ。ストイックな盆栽に近いものがある。放っておいてもそこそこの花は咲くはずだろう。ところが、形の整った大輪の花を咲かせたいというマニア特有の欲求があると、誰に見せて褒めてもらうというわけでもないのに、ここはもう少しの辛抱だと一番先に出た芽を摘み取る。本当に正しいことをしているのだろうか、次の蕾は出てくるのだろうかと、毎回ひどく不安になる。ハイブリッド・ティーにしてみればどちらが幸せなのだろう。「イングリッシュ・ローズ君はいいね。好きに咲かせてもらってさ」ということになるのだろうか。「花の一輪、一輪にまで手をかけてもらえるなんて、バラ冥利につきるわ」と、思ってくれないのだろうか。まぁ、要するに、勝手な思い込みで、バラにとってはどーでもいいことなのだろうけれど。
そんなことを思いながら、ミツバツツジが落とす茶色の蕾の外皮を片付けていた。
このツツジは、ベトベトの粘着質の皮を一枚脱いだ感じで開花する。皮が開花まで中の花を保護しているのはわかるのだが、この粘着力には何か意味があるのだろうか。よく見ると、このミツバツツジは、なかなかいい色をしている。バラにはない赤紫の色だ。花が咲いた後に、その名の通り三枚の細い葉が出て広がる。よく見ると花の中にはちゃんと端正な雄蕊と雌蕊があって、小さなユリを思わせる。
バラを庭の中に置いて、全体の配色をまとめようとする時、どうしても他の花に頼らざるを得ないのが、青の色だ。サントリーが青いバラを開発したそうだが、あの青は、写真で見た限りだが、かえって異質なような気がした。だから、この時期のムスカリや勿忘草、オダマキ。夏のアガパンサスや二ゲラなどが少しでもあると、庭がぐっと引きしまった感じになる。本当は、イギリスの庭で見たようにデルフィニウムを育てたいのだが、ウチの庭では無理なようだ。その代わりあちこちに、奥さんがせっせと勿忘草を植えている。これだけあると十分目立って「忘れるな」というのも押し付けがましい。





