星空への招待(8)夏の星座—七夕、夏の大三角、そして木星
十字架と言えば、これも夏の南国の象徴である南十字星を思い浮かべる方も多いと思います。南十字星はケンタウルス座(これは半人半馬の怪人です)の馬の足の間にある星(写真)で、日本本土からはケンタウルスは上半身あたりまでしか見えないので、この南十字星は見えません。
九州から南に行くと十字の頭が見え始めて沖縄の那覇ではようやく地平線上に十字全体が上がってきます。
この南十字星はそれぞれ「十字架のA」「十字架のB」と呼ばれる1等星2つと2等星、3等星1つずつから出来ています。すぐ東側にはケンタウルス座の1等星が2つあるのでこのあたりはとても賑やかです。
この1等星のすぐ下には石炭ぶくろと呼ばれる暗黒星雲があって、この南十字を一層あざやかに見せています(写真右上)。
南の空で天の川に直立するこの南十字の姿は、十字架として南方へ旅する人間の礼拝の対象となったことでも有名です。
さてベガとアルタイルに話を戻しましょう。
七夕のお話はあまりに有名なので詳しくは書きませんが、中国に発したこの行事が日本に伝えられたのは、1300年ほど前と言われています。
始めは上流社会の祭りであったものが一般に伝わり、願い事を書いてつり下げるようになったそうです。
今の暦の7月7日にはまだ織姫星ベガと彦星アルタイルは低い空にいますが、旧暦の7月7日頃になると天高く上ってきます。
この2つの星の明るさを比べると、織姫星ベガが0等で全天4位の明るさで青白く光るダイヤとも言われるのに対して、彦星アルタイルは0.8等で1等星中の11位ですから、あまりパッとしません。
しかもこの2つの星は天の川をはさんで並んでいるのでおしどり夫婦のようですが、実は16光年離れていることがわかっていて、仲がよいのかそうでないのかよくわからないところもあります。
また織姫星ベガには話題が多く、たとえば、太陽系がこのベガの方向へ秒速19km!で動いていることが知られていますし(写真)、この星が約1万2千年後には北極星となることもわかっています。さらに、こと座自体も、変光星(β星)を含むことや美しいドーナツ形環状星雲M57(タイトル写真)を含むことなどで有名です。
夏は気象条件からも時間的な余裕からも、ゆっくり天体観測をするには好都合なシーズンですから、ぜひ双眼鏡や望遠鏡を持って野外での星空探望に出かけてみませんか?





