星空への招待(5) 春の星空を彩る北斗七星とプレセペ星団
早いもので今日から3月。
奈良東大寺二月堂では修二会の法要が始まり、篭松明が出る12日のお水取りが済むと春が来ると言われています(写真)。そう言えば心なしか空気にもぬくもりが感じられるようになったような気がしますね。
しかし同時に春の到来は花粉症の本格的な始まりでもありますから、喜んでばかりもいられません。
(奈良東大寺)星空の方も冬とは少し様子が違ってきました。
夜8時頃の空を見ると、冬の王者オリオンや冬の大三角はやや西へ傾き、代わって東からかに座やしし座、そしておおぐま座の北斗七星といった春の星座が天頂に上がってきます。さらに東には5月になると天頂に上がるかみのけ座が姿を見せています(写真)。
↓

北斗七星は星座の名前ではありませんが、この特徴ある7つの星は中国でも西洋でも水を入れる“ひしゃく”の形に見立てられていて、春になると水を入れるところを上に空に上がってきます。
この“ひしゃく”はおおぐま座の一部で、水を入れるところは胴体、そしてひしゃくの柄は尾に相当しますから、この熊は頭を上に天に昇ってくるわけです(写真)。

東京あたりでは秋にはこの“ひしゃく”は地平線すれすれにあってなかなか見えませんが、札幌まで行くと秋でもこの“ひしゃく”を見ることができます。ちょうどこの頃に“ひしゃく”に水をためて、梅雨の頃になると“ひしゃく”の口を下に天に昇って雨を降らせるとイメージすると一年の北斗七星の動きを覚えることができますよ(写真)。
この北斗七星、残念ながらたまたま天球上で近くに見えるだけで、実際まとまって存在する星ではありませんから、数万年もするとその形は“ひしゃく”とは似ても似つかない形に変わってしまうと予想されます(写真)。

もし目のいい方なら“ひしゃく”の柄の先から2番目の2等星、ミザールと呼ばれるζ(ゼータ)星のすぐ近くに5等星を見つけることができます。
この2つの星は距離は離れていて実際の連星ではありません。
余談ですが、私が昔から使っている望遠鏡のミザールという商品名はたぶんこの星の名前から来ているのだと思います。

さて、この“ひしゃく”の水を入れる部分の先端の2つの2等星を結んでそれを約5倍ほど延ばしてみると北極星を見つけることができます(写真)。
この北極星を簡単に見つける手がかりとなる“ひしゃく”の2つの星α星とβ星は指極星と呼ばれています。
北極星はこぐま座の尾の先端の2等星ですが、ほぼ北極を指しているので大変便利な星です。
実際、カメラのシャッターを開放にして星空を撮影してみると、すべての星がこの北極星を中心に天空を回っているのがわかります(写真)。この北極星の地平線からの高さはその土地の緯度にほぼ等しいので、もし北極に行ったとすると北極星は天頂に輝いていることになりますから、すべての星は天頂の北極星を中心に地平線と平行に天空を周回することになるでしょう。
しかしこの北極星さえも永久に北極星では有り得ないのです。実は今から4千年前の北極星は今の北極星ではなくて、同じこぐま座の頭の付近の2等星β星だったのです。
そのため、このβ星には「星の中の星」という名前が付いています。
このように天球上の北極の位置が長い時間をかけて移動するのは、地球の自転軸がコマのように少しだけふらふらと回転運動をしているためで、これを歳差運動といいます。
歳差運動によって自転軸は天球を100年に約1.5度移動していって約2万6千年かけて一周します。





