ザルツブルク音楽祭2008 第5回 オテロ
今週はザルツブルク音楽祭の最終回として、8月21日の公演よりヴェルディの最高傑作の1つ、「オテロ」を。
1幕冒頭の迫力のあるオテロ凱旋のシーン
© Silvia Lelli
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「オテロ」はヴェルディの傑作だが、私も大好きな作品で、個人的に古今東西すべてのオペラの中でも3指に入る最高傑作だと思っている。原作は言うまでもなくシェイクスピアの傑作悲劇「オセロ」で、イタリア語にすると「Otello」となる。
ストーリーは単純明快だが、簡単に触れておこう。舞台は15世紀末のキプロス島。ヴェネツィアとトルコが激しい海戦を繰り広げているが、ヴェネツィアの将軍オテロは大勝利を収め、凱旋帰港する。オテロは褐色の肌を持つムーア人。愛妻のデズデモーナは美しい白人で、彼女を深く愛しながらもコンプレックスを持ち、嫉妬心の塊のような男である。オテロの腹心イヤーゴは、オテロに恨みを抱いており、カッシオという副官を利用し、デズデモーナとの関係を疑わせる。イヤーゴは、デズデモーナのハンカチなどを巧みに使い、オテロの嫉妬心をあおることに成功、嫉妬に狂った寝室でついにデズデモーナを絞殺してしまう。デズデモーナの侍女エミーリアからすべてイヤーゴの奸計であったと聞いたオテロは絶望し、短刀で自刃して妻の遺体に接吻を求め、事切れる。
余談になるが、白と黒の石を取り合うゲーム、オテロ(リバーシとも言う)の名前の由来は、オテロ(黒)とデズデモーナ(白)から来ている。関西の女性お笑いコンビ、オセロも色白、色黒の2人から取られている(と思われる)。
左のイヤーゴ(アルヴァレス)の奸計に嵌っていく右のオテロ(アントネンコ)
© Silvia Lelli
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さて、「オテロ」はヴェルディの最後から2番目の作品だが、1871年に傑作「アイーダ」を初演してからは、オペラはまったく書かず、生家ロンコレからほど近いサンタガタという片田舎の農村で農民のような隠遁生活を送っていた。唯一の例外は親友の文豪マンゾーニが亡くなった時に書いた「レクイエム」だけであった。「メフィストフェレ」というオペラでも有名なアリゴ・ボーイトという作曲家が書いた「オテロ」の台本に興味を示したヴェルディは、再び作曲の意欲を再燃させ、10年以上というブランクを乗り越え1886年12月に完成、1887年2月にミラノ・スカラ座で初演を果たした。
4幕フィナーレ 遂にデズデモーナを手にかけてしまうオテロ
© Silvia Lelli
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この「オテロ」というオペラは傑作にも関わらず、演奏回数に恵まれない。原因は、一重にかつてなかったような声量や力強さが歌手たちに求められているからである。特にタイトルロールのオテロ役は、テノーレ・ドラマティコの代名詞のような役で、単に声の威力だけでなく、抜群の表現力や歌唱力を必要とし、あらゆるオペラの中でもっとも難しい役の1つとされている。
代表的なオテロ歌いとしては、マリオ・デル・モナコやプラシド・ドミンゴが挙げられるが、ドミンゴの後を継げるような歌手は今のところ見つかっていない。あえて挙げるならホセ・クーラ、ヨハン・ボータらであろうが、モナコ、ドミンゴと比較すると遥かに物足りない。ザルツブルク音楽祭でも、オテロ役のジョン・ヴィッカースとデズデモーナ役のミレッラ・フレーニという偉大な歌手を得、1970年、71年、72年と3年続けて、ヘルベルト・フォン・カラヤンが振った伝説的な舞台から実に36年ぶりに上演された。





