本・エンタメ

2008/03/07

モーツァルトとオペラ 第7回(最終回)

先週も少し触れたがモーツァルトの最後のオペラは「皇帝ティートの慈悲」。モーツァルトシリーズも長くなってしまったが今回が最終回。

「皇帝ティートの慈悲」は、モーツァルトが「魔笛」の作曲を一時中断して3週間で仕上げたオペラ・セリアである。この作品は、プラハの興行師ドメニコ・グアルダゾーニの依頼を受け、皇帝レオポルト2世のボヘミア王への戴冠式のために書かれたもの。モーツァルトは、かなり無理がスケジュールであったが、ギャラが通常の2倍であったこともあり受けることにした。しかし時間がなかったために、音楽は彼がすべて書いたが、レチタティーヴォは弟子のフランツ・ジュスマイヤーに書かせた。ジュスマイヤーは、モーツァルトの死後、未完の傑作「レクイエム」(KV.626)を完成させた人物である。当初、このオペラはウィーンの宮廷楽長アントニオ・サリエリに依頼されたが、彼は多忙のため断ったと言われている。

初演は、1791年9月6日プラハ・スタヴォフスケー劇場。レオポルトの戴冠式の後、行われたが、マリア・ルイーザ皇妃が「ドイツ人の駄作」と言ったと伝えられているように、聴衆の反応は今ひとつだった。しかし、公演が市民に開放されてからは、徐々に熱狂を増していき、最終日には歴史的な大成功を収めた。なお、ティートの友人セスト役は、現在はメッツォ・ソプラノがズボン役(注1)として歌うが、初演時は、カストラートが歌った。セストの友人アンニオも通常メッツォ・ソプラノがズボン役として歌うので、ズボン役が2人も登場する珍しい作品となってしまった。

ストーリーは、実在のローマ皇帝ティート(ティトゥス)が、KY(空気が読めない)なために、皇妃選びで周りが紛糾し、挙句は親友に暗殺未遂事件をおこされてしまう。最後には慈悲深い皇帝がすべての人を許し、讃えられるという話だが、いかにも類型的な話な上にストーリーが複雑なので分かりづらく、評価は低かった。しかし近年では、美しいモーツァルトの音楽が再評価され、いろいろな録音が出たり、一流のオペラハウスでも上演されるようになった。しかし、CDで聞いているとソプラノ2人にズボン役のメッツォ・ソプラノ2人が複雑に絡み合って、誰が今何を歌っているのかを判別するのは非常に難しい。

(注1)ズボン役 オペラにおいて女性歌手が男装して歌う男の役のこと。



モーツァルトが眠るウィーンの聖マルクト墓地
残念ながらどこに埋葬されたかは分からない。



聖マルクト墓地の入口
2006年のモーツァルトイヤーのウィーンのロゴとともに





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