本・エンタメ

2008/03/03

コレクターによる「冨長敦也展」

 個人コレクターの最終目的の一つに個人美術館づくりがあるが、そこまでできなくても、集めてきたコレクションを公開するコレクション展の楽しみがある。やり方としては、個人が一人で自分のコレクション展をやる他にコレクターが自慢の一点を持ち寄ってする場合もある。




そんな中で、今回は「冨長敦也」という一人の作家の作品を所蔵するコレクターがそれぞれの所蔵作品を持ち寄って実施した「コレクターによる冨長敦也」展を紹介する。作家を変えての「コレクターによる○○○展」はこれで7回目で、今後も10回目までが計画されている。
 今回は出品者で案内ハガキを作成したが、冨長さんが立派なリーフレットを作ってくれた。その紹介文を私が書かせて頂いたので以下に掲載し、出品作品の写真も紹介します。




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「コレクターによる冨長敦也展」によせて
      「品格ある詩情」  
 冨長敦也さんの作品に初めて出会ったのは銀座教会で開催されていた阪神淡路大震災の
チャリテイー展なので、もう十年以上前になる。その時見た作品は震災後の瓦礫の中から拾ってきたような木の箱や蓋に石の断片を利用して造った小さな彫刻を貼り付けたものだった。その作品を見ていると、廃墟の中でも未来を見つめ明るく生きようとする小さな人間の声が聞こえるような温かさを感じた。
 当時は彼の名前はもちろん彫刻家であることも知らなかったが、その後「石に生命を刻む人間讃歌の彫刻家」として活躍している。「私には石の声が聞こえる。石は友人であり、友人との十分な対話が終わると一気に掘り進む」。そんな創作姿勢でイタリア、フランスや吉野熊野、銀座など世界各地の様々な石達との対話や記憶の中から作品として掘り出している。彼の作品は殺伐として閉塞感のある現代社会の中で、人間の優しさ、温かさと生きるためのしなやかな力強さに溢れている。
そしてすべての作品に共通しているのが「品格ある詩情」である。
       アートソムリエ 山本冬彦









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