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2008/09/13

ロックは死なない1  セックス・ピストルズと勝手にしやがれ

70年代を通じてもっとも重要なロックバンドは、セックス・ピストルズなのではないかと思っています。優れたバンド、人気の高いバンドはたくさんありますし、70年代を代表するバンドとして他のバンドを考える人もたくさんいるでしょう。けれども、歴史という視点で見ると、セックス・ピストルズの登場は、明らかにターニングポイントだったと思うのです。もっと言えば、このバンドの登場によって、ロックは死ななかったのだと思います。

 70年代のもっとも重要なバンドはというと、公平な立場から考えて、Sex Pistolsだと思うのです。ロンドンでのパンクロックのムーブメントはこのバンドから始まりました。
もちろん、70年代を代表するバンドやポップミュージックの流れはいろいろあります。例えばLed Zeppelinに代表されるハードロック、King Crimsonに代表されるプログレッシブロック、そういったイギリスの様式美化へと発達した音楽がそうです。そこから、Queenが登場したというのは、歴史的な必然かもしれません。
もちろん、アメリカでもたくさんのポップミュージックがつくられていました。70年代は、日本でどのような洋楽が聴かれていたのか。当時の「ミュージックライフ」という雑誌を見るとわかります。70年代後半であれば、他にはBay City Rollersや、それからKiss(このバンドがなければ、マンガ「デトロイト・メタル・シティ」もありませんでした。そもそも、「Detroit Rock City」というのが、Kissのナンバーなのですから)、そんなバンドが表紙を飾っていました。

けれども、こうしたポップミュージックの、ロックの流れをリセットしてしまったのが、Sex Pistolsです。
このバンドはレコード会社と契約する前から、注目されました。EMIと契約し、シングル「Anarchy In The UK」をリリースした直後、契約は解消され、幻のシングルとなってしまいました。続いて契約したVirginから、「God Save The Queen」がリリースされ、ようやく日本でもその音が流通するようになります。もっともこの曲はすぐに放送禁止になってしまいました。イギリスの女王に安全ピンを刺したデザインのジャケットは、日本では文字だけになっていました。おそらく、日本で天皇に対して同様のデザインをほどこしたジャケットなど、考えられないでしょう。もっともそこは、BBCという国営テレビ局の「モンティ・パイソン」という番組で、「王室バカレース」のようなコントを放映してしまう国なので、日本とはずいぶん違うのですが。
続いて、アルバム『Never Mind The Bollocks』がリリースされます。そこには「EMI」という曲まで収録されていました。

Sex Pistolsの音というのは、あらためて聴いてみると、新しいものではありません。当時ですら、The Whoの「My Generation」と同じではないかという評価がありました。
けれども、もっと言ってしまえば、その10年前のロックをもう一度甦らせるというところに、ロックの原点に戻ろうという意思があったのだと思います。怒れる若者というのは、昔も今もそうであったし、それは60年代も70年代も変わっていなかったはずです。60年代の若者は成長するにしたがって、ソフィスティケートされていきました。そこで、怒り方が、若者に伝わらなかったのかもしれません。それが、70年代前半だとすれば、後半にそれを取り戻したのが、Sex Pistolsだということになります。

もっとも、ではSex Pistolsとはそんなに純粋なものだったのでしょうか?
メンバーは4人、ボーカルのJohnny Rotten(John Lydon)、ギターのSteve Jones、ドラムスのPaul Cook、ベースのGlen Matlockの4人。このバンドを音楽的に支えていたのはGlenだと言われていますが、そのGlenはアルバム発売前に脱退し、バンドの熱狂的なファンだったSid Viciousが加入します。誘ったのはマネジャーのMalcolm McLarenでした。ファッションとしてのパンクという意味では、これは大きな成功となりました。同時に音楽的な限界を示します。

一方、Glenは脱退後にRich Kidsを結成しました。バンドではPistolsのナンバーでもある「Pretty Vacant」を演奏しており、聴いたことがあるのですが、正直、こちらの方がタイトでかっこいい音です。でも、このバンドはアルバム1枚を残して解散します。そうそう、メンバーの一人のMidge UreはUltravoxに加入し、エレクトロポップ路線を歩みました。
かくして、Sex Pistolsはアメリカツアー中に、Johnnyが脱退し、バンドは事実上の解散となるわけですが、Malcolmはそんなのおかまいなしで、イギリスの大列車強盗犯人のRonald Biggsをボーカルに迎えたりとでたらめな展開をし、消滅していきます。そうした中、Sidは恋人のNancy Spungenとともに薬物中毒となり、Nancyが死んだ1年後にSidもまた薬物中毒で亡くなります。当時、NancyはSidに刺殺されたということになっていますが、実際にはそうではなかったのかもしれません。この二人をモデルに映画も製作されています。





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