イエス・ミュージックの夜+5 ジョン・アンダーソンの沈黙の力
ジョン・アンダーソンの愛ということを考えるとき、家族とりわけ子どもへの愛と、地球への愛、あるいはパートナーへの愛というものが並んでいるって思うし、それを守っていくために、人類の持つ本質的な力を信じている楽観性を感じてしまうのです。そうしたことがすべてはげしくまわっていたのが、90年代後半のジョンだったのだと思うのです。
1994年から1998年にかけて、Jon Andersonは本当にたくさんのソロアルバムを製作しました。ただし、それぞれがまったく違うコンセプトになっていて、あふれてきて止まらないというJonの創作意欲というものかもしれません。そして、参加メンバーを見ると、『Deseo』『Change We Must』『Angela Embrace』『Toltec』にはDeborah AndersonやJade Andersonら、娘たちが参加しており、一転して『Earthmotherearth』『The Promise Ring』『The More You Know』には二人目の奥さんであるJane Luttenberger Andersonが参加しています。
Jonは忙しいミュージシャン生活の中で、ひょっとしたら十分にいい父親ではなかったのかもしれません。そうした溝を埋めるように、成長した娘たちと音楽活動を行ったとも考えられます。そしてその成長を感じた上で、新しい人生のステップに踏み出し、二度目の結婚をしたのかもしれません。イギリス出身のJonですが、やがて本拠地をアメリカ西海岸に移す。大西洋は家族を維持するには大きすぎる海だったのかもしれません。けれども、新大陸を目指してしまったJonにとっては、新しいパートナーが必要だったのかもしれない、とも思うのです。
Jadeは自分のアルバム『Dive Deeper』の中で、父親であるJonに対しては「音楽の才能を与えてくれたこと」に感謝し、Janeに対しては「父親を幸せにして欲しい」と書いています。家族は解体しても、それぞれの関係がしっかり結びついていれば、それはそれで大丈夫。それは、家族あっての個人ではなく、個人があっての家族ということなのだと思います。そして、そういう中で、Jonは家族や妻への愛情とともに、地球を愛しむような、人を飛翔させる音楽に向かって行こうとしたのではないでしょうか。
中南米音楽に取り組んだ『Deseo』はさらに、アトランティス文明をテーマとした『Toltec』へと発展していきます。
大西洋を渡ってきたJonが出合ったものは、地球上をまったく逆のルートで移動し、新大陸にたどり着いた人々の文化でした。それは、人類が地上に君臨するというヨーロッパ思想とは対極にある、人は自然の力によって生かされている、という神話でした。世界はグローバル化によってさまざまな危機を迎えている、そういったことが認識されはじめた時代に、自然の中の人間を回復させる力を求め、それを音楽にしていこうとしたのかもしれません。そうして製作されたのが、コンセプトアルバム『Toltec』でした。
実はこのアルバムには最初、『The Power Of Silence』というタイトルがついていました。しかし、そのタイトルで予告されたアルバムは発売中止となっています。そしてしばらく時間を置いた後、『Toltec』としてリリースされました。
構成もとても変わっています。いちおう、全13曲となっているのですが、全体が3つのパートに分かれており、パートの1つがまるまる1曲として聴けるようになっています。例えばパート1は4曲で構成されていますが、実際にはインスト、歌、語りにタイトルが与えられているもので、それぞれが重なりあって1つのパートとなっている、というものです。
そのパート1は、主人公がいかに自然から学び、成長していくのかということが歌われています。長いけれどシンプルな歌詞は、人を勇気付けるものだと思います。また、間にはさまれる語りは、LongwalkerというMedicineのものです。
余談ですが、このアルバムを聞いていると、Jonの最初のソロアルバム『Olias Of Sunhillow』と似ているって思います。Jonは最初、自ら宇宙を舞台に神話を創ろうとしたのですが、やがて地球という惑星において、そこに神話を求めることに希望を見出した、ということかもしれません。
Jonは忙しいミュージシャン生活の中で、ひょっとしたら十分にいい父親ではなかったのかもしれません。そうした溝を埋めるように、成長した娘たちと音楽活動を行ったとも考えられます。そしてその成長を感じた上で、新しい人生のステップに踏み出し、二度目の結婚をしたのかもしれません。イギリス出身のJonですが、やがて本拠地をアメリカ西海岸に移す。大西洋は家族を維持するには大きすぎる海だったのかもしれません。けれども、新大陸を目指してしまったJonにとっては、新しいパートナーが必要だったのかもしれない、とも思うのです。Jadeは自分のアルバム『Dive Deeper』の中で、父親であるJonに対しては「音楽の才能を与えてくれたこと」に感謝し、Janeに対しては「父親を幸せにして欲しい」と書いています。家族は解体しても、それぞれの関係がしっかり結びついていれば、それはそれで大丈夫。それは、家族あっての個人ではなく、個人があっての家族ということなのだと思います。そして、そういう中で、Jonは家族や妻への愛情とともに、地球を愛しむような、人を飛翔させる音楽に向かって行こうとしたのではないでしょうか。
中南米音楽に取り組んだ『Deseo』はさらに、アトランティス文明をテーマとした『Toltec』へと発展していきます。大西洋を渡ってきたJonが出合ったものは、地球上をまったく逆のルートで移動し、新大陸にたどり着いた人々の文化でした。それは、人類が地上に君臨するというヨーロッパ思想とは対極にある、人は自然の力によって生かされている、という神話でした。世界はグローバル化によってさまざまな危機を迎えている、そういったことが認識されはじめた時代に、自然の中の人間を回復させる力を求め、それを音楽にしていこうとしたのかもしれません。そうして製作されたのが、コンセプトアルバム『Toltec』でした。
実はこのアルバムには最初、『The Power Of Silence』というタイトルがついていました。しかし、そのタイトルで予告されたアルバムは発売中止となっています。そしてしばらく時間を置いた後、『Toltec』としてリリースされました。構成もとても変わっています。いちおう、全13曲となっているのですが、全体が3つのパートに分かれており、パートの1つがまるまる1曲として聴けるようになっています。例えばパート1は4曲で構成されていますが、実際にはインスト、歌、語りにタイトルが与えられているもので、それぞれが重なりあって1つのパートとなっている、というものです。
そのパート1は、主人公がいかに自然から学び、成長していくのかということが歌われています。長いけれどシンプルな歌詞は、人を勇気付けるものだと思います。また、間にはさまれる語りは、LongwalkerというMedicineのものです。
余談ですが、このアルバムを聞いていると、Jonの最初のソロアルバム『Olias Of Sunhillow』と似ているって思います。Jonは最初、自ら宇宙を舞台に神話を創ろうとしたのですが、やがて地球という惑星において、そこに神話を求めることに希望を見出した、ということかもしれません。





