イエス・ミュージックの夜+4 リック・ウエイクマンの1984
7月に来日したリック・ウエイクマンですが、ロックミュージックという意味での優れた作品というと、どうしても70年代後半から80年代前半ではないかと思うのです。中でもイエス脱退後に製作され、豪華なゲストを揃えた『デカダンス1984』は、当時のリックがやりたかっらロック・ミュージックだったのではないかと思うのです。
以前、Rick Wakemanの一番好きなアルバムとして取り上げたのは、『Country Airs』でした。それは本当に美しいピアノソロでした。けれども、それだけがRickの魅力なのではなく、さまざまなアンサンブルでアルバムを製作しています。ただし、バンド・スタイルでの作品というと、どうしても80年代前半までの、もっと具体的に言えば、Presidentレーベルに移籍するまでの作品なのではないかと思っています。
言うまでもなく、最も成功した作品は1974年の『Journey To The Center Of The Earth』という、SF小説を題材にしたもので、オーケストラや合唱団と共演し、ライブ録音されたものでした。壮大な音楽は、商業的にはYes以上に成功したと言えます。この成功が、一時的なRickのYes脱退につながったとも言えます。
けれども、好みという点では、むしろ『Rick Wakeman’s Criminal Record』です。この作品については、Yesの『Going For The One』を紹介したときに書きましたが、Yesのアルバムでは自分の音楽を十分に発揮できなかったということもあり、犯罪という重いテーマのわりには、本当に美しいメロディ、アレンジがほどこされた傑作アルバムです。スイスの澄み切った空気の中で製作されたアルバム、そんな気がします。中でも「Judas Iscariot」は、イエスを裏切ったユダの悲しみが静かに感じられる、そんな曲になっています。
もちろんこのアルバムにおいて、Chris SquireとAlan Whiteの参加も見逃すわけにはいきません。これもYes復帰があったゆえに実現したものだと思うのです。
ですが、今夜、ゆっくりと聴きたいのは、1981年の『1984』です。言わずと知れた、ジョージ・オーウェルの小説をモチーフにした作品です。
80年代初頭、もうする1984年がやってくる、そういう時代でした。そこで選んだ題材ということになります。同時に、Rickは再びYesを脱退したところでした。あらためてロック・アルバムを製作する、はずだったものがセッションが不調に終わり、持っていく場所がなくなってしまった、そういう状態でもありました。実際にこのアルバムの1曲目「Overture」のフレーズは、Yesのパリでのセッションでも演奏されています。
そうした音楽的に未消化のものを抱えた状態で、Rickがバンド・サウンドに向かっていくのは当然のことだったのかもしれません。
けれども、ソロアルバムであるがゆえに、ゲストミュージシャンをよぶこともできるという利点もありました。同じくYesを脱退したJon Andersonをはじめ、Chaka Khanといったソウル系の女性ボーカル(などと紹介するまでもないですよね。「I Feel For You」がヒットするのはもう少し後でしたけれど)なども参加。これだけでも、Rickのアルバムの中では特筆すべき作品、と言えると思うのです。
ボーカルが入った曲が多かったからかもしれません。それにしても、『Criminal Record』のように美しい音を聞き流すということができない、そういうアルバムになっています。『Journey To The Center Of The Earth』の持つ壮大さではなく、むしろ息詰まるようなスリリングな音楽、そういうものとして成功しています。その意味でも、時代を反映した優れたロック・アルバムなのだと思うのです。例えば、Jonが歌う「The Hymn」は美しい歌なのですが、次の展開を考えていくと、ほんとうに悲しい歌に聞こえてしまうのです。
パリでのセッションを考えると、ひょっとしたらYesでの演奏というのは、あり得たのかもしれません。それが、Rickが当時求めていた、ロックバンドとしてのYesの音楽だったといえば、そうかもしれません。でも同時に、それは他のメンバーにとってはそうではなかった。Yesの『Drama』、Jonの『Song Of Seven』と較べていくと、それぞれが考えていた80年代の音楽の違いというのが見えてきます。
言うまでもなく、最も成功した作品は1974年の『Journey To The Center Of The Earth』という、SF小説を題材にしたもので、オーケストラや合唱団と共演し、ライブ録音されたものでした。壮大な音楽は、商業的にはYes以上に成功したと言えます。この成功が、一時的なRickのYes脱退につながったとも言えます。けれども、好みという点では、むしろ『Rick Wakeman’s Criminal Record』です。この作品については、Yesの『Going For The One』を紹介したときに書きましたが、Yesのアルバムでは自分の音楽を十分に発揮できなかったということもあり、犯罪という重いテーマのわりには、本当に美しいメロディ、アレンジがほどこされた傑作アルバムです。スイスの澄み切った空気の中で製作されたアルバム、そんな気がします。中でも「Judas Iscariot」は、イエスを裏切ったユダの悲しみが静かに感じられる、そんな曲になっています。
もちろんこのアルバムにおいて、Chris SquireとAlan Whiteの参加も見逃すわけにはいきません。これもYes復帰があったゆえに実現したものだと思うのです。ですが、今夜、ゆっくりと聴きたいのは、1981年の『1984』です。言わずと知れた、ジョージ・オーウェルの小説をモチーフにした作品です。
80年代初頭、もうする1984年がやってくる、そういう時代でした。そこで選んだ題材ということになります。同時に、Rickは再びYesを脱退したところでした。あらためてロック・アルバムを製作する、はずだったものがセッションが不調に終わり、持っていく場所がなくなってしまった、そういう状態でもありました。実際にこのアルバムの1曲目「Overture」のフレーズは、Yesのパリでのセッションでも演奏されています。
そうした音楽的に未消化のものを抱えた状態で、Rickがバンド・サウンドに向かっていくのは当然のことだったのかもしれません。
けれども、ソロアルバムであるがゆえに、ゲストミュージシャンをよぶこともできるという利点もありました。同じくYesを脱退したJon Andersonをはじめ、Chaka Khanといったソウル系の女性ボーカル(などと紹介するまでもないですよね。「I Feel For You」がヒットするのはもう少し後でしたけれど)なども参加。これだけでも、Rickのアルバムの中では特筆すべき作品、と言えると思うのです。
ボーカルが入った曲が多かったからかもしれません。それにしても、『Criminal Record』のように美しい音を聞き流すということができない、そういうアルバムになっています。『Journey To The Center Of The Earth』の持つ壮大さではなく、むしろ息詰まるようなスリリングな音楽、そういうものとして成功しています。その意味でも、時代を反映した優れたロック・アルバムなのだと思うのです。例えば、Jonが歌う「The Hymn」は美しい歌なのですが、次の展開を考えていくと、ほんとうに悲しい歌に聞こえてしまうのです。パリでのセッションを考えると、ひょっとしたらYesでの演奏というのは、あり得たのかもしれません。それが、Rickが当時求めていた、ロックバンドとしてのYesの音楽だったといえば、そうかもしれません。でも同時に、それは他のメンバーにとってはそうではなかった。Yesの『Drama』、Jonの『Song Of Seven』と較べていくと、それぞれが考えていた80年代の音楽の違いというのが見えてきます。





