イエス・ミュージックの夜12 ジェフリー・ダウンズとドラマ
イエスとバグルスが合体して完成した80年のアルバム「ドラマ」は、テクノとプログレが合体した傑作アルバムでした。しかし商業的な成功には至りません。けれども、このアルバムはバグルスの2人にとってドラマの始まりでした。ジェフリー・ダウンズが参加したエイジアは奇跡的な大ヒットを経験します。そしてダウンズはこのバンドの看板を一人で背負っておく運命を引き受けることにもなります。
Yesのファンの間では、Jon Andersonが唯一参加しなかった1980年のアルバム『Drama』は、実はけっこう人気があります。当時、Jonは『Tormato』の延長で、日常生活を題材にした作品をつくりたかったのですが、そのことが他のメンバーとの対立となり、Jonは脱退、Bugglesの2人を加えてYesは新しいアルバムを作成します。それが『Drama』でした。そしてこのアルバムは、コンポーザーとしての参加を除けば、Geoffrey Downesが参加した唯一のアルバムでもあります。
『Drama』はテクノポップ以降のクールな世界観を背景としながらも、プログレらしい緻密な世界を構成している、そんな作品に仕上がっています。代表的な曲は、1曲目の「Machine Messiah」かもしれません。そこでは、Steve Howeの立体的な構成のとなった曲に、SFを思わせる言葉が乗っています。あるいは、Trevor Hornがベースを弾く「Run Through The Light」のポストヒューマニズムの世界観はどうでしょうか。それは、『Fragile』で示されたRodger Deanが描くジャケットの世界の延長としてふさわしい世界だったのかもしれません。再びRodgerを起用したジャケットは、人類の夜、けれどもポスト人類の夜明けを示すような、そんなイラストになっています。
20年以上が経過した現在、なお『Drama』が一定の評価を得るというのは、当然だと思います。それは、長年Yesを支えてきたプレイヤーと、Bugglesで成功した若いプレイヤーのそれぞれのリスペクトがほどよい形で混ざり合っている、その意味では奇跡的なアルバムだからです。Chris SquireはChrisなりに「Does It Really Happen?」で思う存分にベースを弾いているし、Steveは自分の世界を確立し、こともあろうに使用したギターを曲ごとに示したりもしています。シングルカットされた「Into The Lends」は後にBugglesの「I Am A Camera」として再演されますが、原曲そのものも、とりわけシングルバージョンはBugglesの曲として違和感がありません。大仰さもドライブ感もすべて備えた、実は傑作アルバムだという、それが現在の評価ではないでしょうか。
続くツアーで、Trevor Hornがどれほど傷ついたのかは、前回お話した通りです。一方、GeoffreyのプレイはRick Wakemanと比較しても遜色のないものでした。ツアーではRickのようにたくさんのキーボードを並べて演奏しました。そうしたプレイは、実は後のAsiaでも引き継がれるわけですが、それは後の話となります。このときのライブでは、インストとはいえ、「Video Killed The Radio Star」も演奏したし、Buggles-Yesは音楽的な成功はしたと思います。けれども、それは商業的な成功とは別のものでした。
今、聴き直したときに優れたアルバムだと思う『Drama』ですが、現実の世界ではむしろこれはドラマの始まりでした。それは後の、Trevor Hornにとっての『90125』のように、Geoffreyにも訪れるのです。
Geoffreyは再びBugglesとしての活動を再開するのですが、そこから脱退することになります。元King Crimson、U.K.のJohn Wettonは元ELPのCarl Palmerとともにバンドの結成を考えます。そこに呼び込まれたのが、Steve Howeであり、そのHoweがGeoffreyをメンバーに引き入れました。そして、プログレのビッグネームの元メンバーが集まって結成されたバンドが、Asiaだったというわけです。
Asiaの名前の由来は、安易なもので、U.K.の次だから、というようなノリだったともいいます。いくつもあった案から選ばれたわけですが。
スーパーバンドAsiaのデビューアルバム『Asia』は、BugglesやYesが経験したことがないほどの大ヒットとなります。全米で700万枚を売ったのですから。今でも、それぞれのメンバーはこのアルバムを奇跡だと思っているようです。というのも、この成功は再現できませんでした。
『Asia』は本当にすばらしいアルバムでした。JohnとGeoffreyが持つポップミュージックのセンスを、豊かな表現力を持ったプレイヤーが支えているのですから。そこには、プログレッシブロックだけが持つ、破壊的なまでの掟破りの構成力があります。つまりは、例えば変拍子のことなんですけれどもね。
でも、そうしたいびつな感触とポップな感触の同居が、ただ聴き心地がいいだけの音ではない、そういう作品に仕上げています。わずか3分と少しの中に、JohnのクリスタルボイスもSteveの厚みのあるプレイもCarlの端整で少し時代遅れのリズムまでもが込められた「Heat Of The Moment」は全米No.1となりました。
けれども、Asiaの魅力はむしろ、プログレらしい拍子がきっちりと決まった「Wildest Dream」などにあるのかもしれません。今回、あらためてこのアルバムを聴き直したのですが、そのドライブ感は独特のものだったと思います。
『Drama』はテクノポップ以降のクールな世界観を背景としながらも、プログレらしい緻密な世界を構成している、そんな作品に仕上がっています。代表的な曲は、1曲目の「Machine Messiah」かもしれません。そこでは、Steve Howeの立体的な構成のとなった曲に、SFを思わせる言葉が乗っています。あるいは、Trevor Hornがベースを弾く「Run Through The Light」のポストヒューマニズムの世界観はどうでしょうか。それは、『Fragile』で示されたRodger Deanが描くジャケットの世界の延長としてふさわしい世界だったのかもしれません。再びRodgerを起用したジャケットは、人類の夜、けれどもポスト人類の夜明けを示すような、そんなイラストになっています。
20年以上が経過した現在、なお『Drama』が一定の評価を得るというのは、当然だと思います。それは、長年Yesを支えてきたプレイヤーと、Bugglesで成功した若いプレイヤーのそれぞれのリスペクトがほどよい形で混ざり合っている、その意味では奇跡的なアルバムだからです。Chris SquireはChrisなりに「Does It Really Happen?」で思う存分にベースを弾いているし、Steveは自分の世界を確立し、こともあろうに使用したギターを曲ごとに示したりもしています。シングルカットされた「Into The Lends」は後にBugglesの「I Am A Camera」として再演されますが、原曲そのものも、とりわけシングルバージョンはBugglesの曲として違和感がありません。大仰さもドライブ感もすべて備えた、実は傑作アルバムだという、それが現在の評価ではないでしょうか。続くツアーで、Trevor Hornがどれほど傷ついたのかは、前回お話した通りです。一方、GeoffreyのプレイはRick Wakemanと比較しても遜色のないものでした。ツアーではRickのようにたくさんのキーボードを並べて演奏しました。そうしたプレイは、実は後のAsiaでも引き継がれるわけですが、それは後の話となります。このときのライブでは、インストとはいえ、「Video Killed The Radio Star」も演奏したし、Buggles-Yesは音楽的な成功はしたと思います。けれども、それは商業的な成功とは別のものでした。
今、聴き直したときに優れたアルバムだと思う『Drama』ですが、現実の世界ではむしろこれはドラマの始まりでした。それは後の、Trevor Hornにとっての『90125』のように、Geoffreyにも訪れるのです。Geoffreyは再びBugglesとしての活動を再開するのですが、そこから脱退することになります。元King Crimson、U.K.のJohn Wettonは元ELPのCarl Palmerとともにバンドの結成を考えます。そこに呼び込まれたのが、Steve Howeであり、そのHoweがGeoffreyをメンバーに引き入れました。そして、プログレのビッグネームの元メンバーが集まって結成されたバンドが、Asiaだったというわけです。
Asiaの名前の由来は、安易なもので、U.K.の次だから、というようなノリだったともいいます。いくつもあった案から選ばれたわけですが。
スーパーバンドAsiaのデビューアルバム『Asia』は、BugglesやYesが経験したことがないほどの大ヒットとなります。全米で700万枚を売ったのですから。今でも、それぞれのメンバーはこのアルバムを奇跡だと思っているようです。というのも、この成功は再現できませんでした。
『Asia』は本当にすばらしいアルバムでした。JohnとGeoffreyが持つポップミュージックのセンスを、豊かな表現力を持ったプレイヤーが支えているのですから。そこには、プログレッシブロックだけが持つ、破壊的なまでの掟破りの構成力があります。つまりは、例えば変拍子のことなんですけれどもね。
でも、そうしたいびつな感触とポップな感触の同居が、ただ聴き心地がいいだけの音ではない、そういう作品に仕上げています。わずか3分と少しの中に、JohnのクリスタルボイスもSteveの厚みのあるプレイもCarlの端整で少し時代遅れのリズムまでもが込められた「Heat Of The Moment」は全米No.1となりました。
けれども、Asiaの魅力はむしろ、プログレらしい拍子がきっちりと決まった「Wildest Dream」などにあるのかもしれません。今回、あらためてこのアルバムを聴き直したのですが、そのドライブ感は独特のものだったと思います。









