イエスミュージックの夜6 スティーブ・ハウとライブ・アット・モントルー・2003
イエスの二代目ギタリスト、スティーブ・ハウは、シンプルなロックミュージックと美しいアコースティックギターの演奏という二面性を持つミュージシャンです。その振幅の幅が、イエスの音楽を立体的な構成に仕上げました。
まだ高校生だった頃、なかなか買えないYesのアルバムがありました。もちろんそれは『Yes Songs』という3枚組のライブアルバムです。当時、5700円だったと思います。けれども実際にそれを買ったのは、Yes、Led Zeppelin、Deep Purpleの結成10周年記念で値下げした盤が出たとき。そのときでも4500円でした。それが今では、CD2枚組みとなり、2000円台で買えたりします。なんだか、複雑な気持ちになります(紙ジャケの3枚組もありますが)。
オープニングの小沢征治指揮による「Fire Bird」から、1曲目の「Siberian Khatru」につながる、そのギターのイントロのかっこよさから、Yesの世界にはまり込んでいく、そんなアルバムでした。Rodger Deanのアートワークも見ていて飽きないし。そして、ライブならではの、全編エレクトリックギターによる「Roundabout」は、けっこうシンプルなロックナンバーに聞こえます。そしてそれは、Steve Howeのもう一つの顔だと思うのです。

SteveはサードアルバムからYesに参加しました。とても不思議なのは、以前参加していたTomorrowというバンドがサイケデリックな音作りをしていたにもかかわらず、同じくサイケデリックな以前のYesに、まったく異なるアプローチを持ち込んだことです。シンプルなロックミュージックのリフ、クラシックギターの奥行き、そしてそれらに支えられた、立体的な音の世界です。何よりYesをノリのいいロックバンドにしているのが、Steveのギターだと思うのです。 そんなSteveを象徴する曲というと、Bugglesと合体した時代のライブのみで演奏されたナンバー「Go Through This」(『Word Is Live』で聴くことができます)だったり、あるいは『Union』という8人Yesの唯一のアルバムのボーナストラック「Give And Take」だったりします。Yesの曲としては、あまりにもシンプルすぎて脇に置かれてしまった、という。けれどもそうしたナンバーに、Steveの本質があるような気がします。だから、初期のライブでは「Roundabout」をアコースティックギター抜きでやったのではないか、そんな
想像をしてしまうのです。
そのSteveの演奏を楽しむアルバムとして、今回は『Yes Songs』ではなく、『Live At Montreux 2003』を選ぶことにしました。この2つのライブアルバムの間には、30年という時間が流れています。その時間に耳を傾けてみる、そういうことも悪くないと思うのです。 このアルバムでびっくりするのは、オープニングなしで「Siberian Khatru」の演奏が始まることかもしれません。でもまあそこはライブの都合、ご愛嬌です。そこから続くのが、最新アルバムから「Magnification」、久々に復活させたナンバー「South Side Of The Sky」など。そして、Steveの聴き所はソロで演奏される「To Be Over」かもしれません。
実は『Relayer』の収録曲「To Be Over」は、ちょっと中途半端な曲のような気がして、いま一つ好きになれませんでした。きれいなメロディなのに、起伏が少ないのです。けれどもこうしてアコースティックギターのインストゥルメンタルナンバーとして聴いていると、もっと違うメッセージが聞こえてくるような気がするのです。ただ、越えて行くこと、その単純なメッセージは、ドラマチックなものでもなければ、勢いがあるものでもない。けれども、淡々と越えて行く、いつもそのようにして進んでいく、人生の基底に常に流れているもの、そんなことが、ギターのリフで語られている、そう思うのです。そして、SteveもYesもそうやって30年を過ごしてきたし、その曲を聴くぼくたちもまた、同じなのではないか。 バンドの演奏の勢いは『Yes Songs』にはかなわないでしょう。けれども、年輪を経ることでしか向き合えなかった曲もあります。新しい曲だってあります。そしてなお、最後は「Roundabout」でステージを終えます。変わったもの、変わらないもの、それらをすべてひっくるめて、このライブアルバムはそこに存在しています。

そうそう、それからこのアルバムでは、Jon Andersonは「Show Me」という曲を披露しています。この時期のツアーでは、Jonはソロのパートでこのナンバーをいつも歌っていました。実はYesのフルアルバムには収録されていないのですが、Yesの35周年記念のベストアルバムのアメリカ版3枚組には、新録音の5曲のうちの1曲として収録されています。
オープニングの小沢征治指揮による「Fire Bird」から、1曲目の「Siberian Khatru」につながる、そのギターのイントロのかっこよさから、Yesの世界にはまり込んでいく、そんなアルバムでした。Rodger Deanのアートワークも見ていて飽きないし。そして、ライブならではの、全編エレクトリックギターによる「Roundabout」は、けっこうシンプルなロックナンバーに聞こえます。そしてそれは、Steve Howeのもう一つの顔だと思うのです。

SteveはサードアルバムからYesに参加しました。とても不思議なのは、以前参加していたTomorrowというバンドがサイケデリックな音作りをしていたにもかかわらず、同じくサイケデリックな以前のYesに、まったく異なるアプローチを持ち込んだことです。シンプルなロックミュージックのリフ、クラシックギターの奥行き、そしてそれらに支えられた、立体的な音の世界です。何よりYesをノリのいいロックバンドにしているのが、Steveのギターだと思うのです。 そんなSteveを象徴する曲というと、Bugglesと合体した時代のライブのみで演奏されたナンバー「Go Through This」(『Word Is Live』で聴くことができます)だったり、あるいは『Union』という8人Yesの唯一のアルバムのボーナストラック「Give And Take」だったりします。Yesの曲としては、あまりにもシンプルすぎて脇に置かれてしまった、という。けれどもそうしたナンバーに、Steveの本質があるような気がします。だから、初期のライブでは「Roundabout」をアコースティックギター抜きでやったのではないか、そんな
想像をしてしまうのです。そのSteveの演奏を楽しむアルバムとして、今回は『Yes Songs』ではなく、『Live At Montreux 2003』を選ぶことにしました。この2つのライブアルバムの間には、30年という時間が流れています。その時間に耳を傾けてみる、そういうことも悪くないと思うのです。 このアルバムでびっくりするのは、オープニングなしで「Siberian Khatru」の演奏が始まることかもしれません。でもまあそこはライブの都合、ご愛嬌です。そこから続くのが、最新アルバムから「Magnification」、久々に復活させたナンバー「South Side Of The Sky」など。そして、Steveの聴き所はソロで演奏される「To Be Over」かもしれません。
実は『Relayer』の収録曲「To Be Over」は、ちょっと中途半端な曲のような気がして、いま一つ好きになれませんでした。きれいなメロディなのに、起伏が少ないのです。けれどもこうしてアコースティックギターのインストゥルメンタルナンバーとして聴いていると、もっと違うメッセージが聞こえてくるような気がするのです。ただ、越えて行くこと、その単純なメッセージは、ドラマチックなものでもなければ、勢いがあるものでもない。けれども、淡々と越えて行く、いつもそのようにして進んでいく、人生の基底に常に流れているもの、そんなことが、ギターのリフで語られている、そう思うのです。そして、SteveもYesもそうやって30年を過ごしてきたし、その曲を聴くぼくたちもまた、同じなのではないか。 バンドの演奏の勢いは『Yes Songs』にはかなわないでしょう。けれども、年輪を経ることでしか向き合えなかった曲もあります。新しい曲だってあります。そしてなお、最後は「Roundabout」でステージを終えます。変わったもの、変わらないもの、それらをすべてひっくるめて、このライブアルバムはそこに存在しています。

そうそう、それからこのアルバムでは、Jon Andersonは「Show Me」という曲を披露しています。この時期のツアーでは、Jonはソロのパートでこのナンバーをいつも歌っていました。実はYesのフルアルバムには収録されていないのですが、Yesの35周年記念のベストアルバムのアメリカ版3枚組には、新録音の5曲のうちの1曲として収録されています。





